血清検査室
血清検検査とは
「血清」とは,血液を遠心分離機という機械にかけて得られる透明な液体成分です。このなかに含まれる「抗原や抗体」の状態を調べる検査のことを血清検査といいます。からだの中に侵入してくる「抗原」や,それを防御する「抗体」を調べることでさまざまな病気の手掛かりをつかむことができます。当検査室ではおもに次のような検査を行っています。

検査項目
アレルゲン検索
アレルギーの原因物質を調べる
食品をはじめ,花粉,ダニ,ホコリ,ペット動物など約60 種類のアレルギー原因物質(アレルゲン)を,専用分析装置により調べています。

糖尿病とヘモグロビンエイ・ワン・シー(HbA1c)検査
糖尿病はその名のとおり尿の中に糖が出る病気として古くから知られていました。その原因は血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が高くなるためというのは皆さんご存じのとおりです。
今,世界中では2億人が糖尿病であるといわれています。我が国の患者数は予備軍も含めるとおよそ2000万人で,今後ますます増えていくことが予想されます。
糖尿病の検査でヘモグロビンエイ・ワン・シー(ヘモグロビンA1cまたはHbA1c)というのを最近よく耳にされると思います。HbA1cは血糖検査とともに糖尿病の重要な検査です。血糖値が高くなる病気なら血糖検査だけでもよさそうですが,糖尿病患者さんの血糖値は不安定なため,その方の状態を見極めるには反復検査が必要です。

一方HbA1cは1回の検査で「過去数週間の血糖値の平均」を推し測ることができ,その検査結果から,病院においでにならなかった間の血糖値を推定し,世界各国で行われた大規模な追跡調査の結果と照らし合わせることで今後合併症が発現するかどうかの予測を立てることもできる大変に便利な検査です。
当検査室では写真のような,ひとつの試験管に入った血液で連続的に血糖とHbA1cを測定できる検査装置を導入しています。

平成24年4月1日より,我が国のHbA1c測定値はそれまで使ってきたジェイ・ディー・エス値(JDS値)から,それよりおよそ0.4高いエヌ・ジー・エス・ピー値(NGSP値)という数値に変わりました。これは,国際的に広く利用されているNGSP値に物差しを合わせることで,患者さんの検査結果を各国の臨床研究成果と比較を容易にし,治療等に反映させることを目的としています。
今後はこのNGSP値を用いることになり,診断基準値(糖尿病を強く疑う値)も6.1以上から6.5以上に変わります。また,当臨床検査部では診療現場の混乱を避けるため,当分の間は従来のJDS値も併記しています。なお,メタボリックシンドローム検診(いわゆるメタボ検診)では,もう少しの間,従来のJDS値が利用されるようです。ご自分の検査結果がどちらの物差しで示されているのか不明な場合は,受診時時に担当医にご確認ください。
※JDS ⇒ Japan Diabetes Society(日本糖尿病学会)の略
NGSP ⇒ National Glycohemoglobin Standardization Program(米国糖化ヘモグロビン標準化プログラム)の略
自己抗体検査
自己免疫性疾患の有無や種類を推定する
血清の中にある「抗体」という物質は,ウイルスや細菌などから身を守る大切な働きをしていますが,この抗体が自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまう病気があります。このような病気の総称を「自己免疫性疾患」といいます。自己免疫性疾患かどうかのふるい分けをする「抗核抗体検査」や,さらに精密な自己抗体検査ができる「ELISA 法」を実施しています。
