染色体・遺伝子関連検査室
染色体・遺伝子関連検査室
染色体とは細胞の分裂周期(分裂中期)の過程で見られ,色素に良く染まることから染色体と呼ばれています。
ヒトの染色体は母親由来と父親由来の23 組(常染色体が22 組,性染色体が1 組)の染色体から構成されています。


染色体検査は生殖細胞系列検査と体細胞系列検査に大別されます。生殖細胞系列検査はダウン症などの先天性疾患が疑われた場合や,不育症の原因検索を目的として行われます。体細胞系列検査は白血病や腫瘍の初期診断や治療方針の決定,予後の推測を目的として行われます。
疾患の診断や治療に直結する場合が多いことや,遺伝カウンセリングのサポートを求められるため,細胞遺伝学認定士などの資格を有するものが担当することが望ましいとされています。
生殖細胞系列の染色体検査,白血病などの血液疾患の染色体検査は1週間程度で成績を報告するとともに,FISH法(蛍光in situハイブリダイゼーション法)を併用し,臨床からの要望に応えるように努めています。
代表的な染色体異常
- 常染色体異常
- 47,XX,+21(ダウン症候群)
- 性染色体異常
- 47,XXY(クラインフェルター症候群)
45,X(ターナー症候群)
造血器腫瘍
- 46,XX,t(9;22)(q34;q11) (慢性骨髄性白血病,急性リンパ性白血病)
- 46,XY,t(8;21)(q22;q22) (急性骨髄性白血病)
材料は末梢血液や骨髄液を用います。
細胞培養に使う培養液は,10~20%ウシ胎児血清を加えたRPMI1640 を用い,処理はクリーンベンチ内で無菌的に行います。


培養は37℃,5%炭酸ガス恒温器で,1~3日間培養します。一定時間,培養した後にコルセミド(分裂阻止剤)を添加し分裂中期(M期)の細胞を集めます。培養終了後に染色体をスライドガラス上に展開します。


GTG法(Gバンド分染法)で染色したのち,顕微鏡(1000倍)で20~30個の分裂像(染色体)について,数,構造異常を調べます。