診療内容
日本大学脳神経外科では,脳外科領域全般に関する疾患に全力を尽くし治療にあたっています。
外来診療は,平日午後や土曜日午前も行っていますので,脳外科領域の疾患で紹介状をお持ちの患者さんは,外来診療に表示の専門分野に関わらず当大学脳外科外来を受診していただければ適切なご案内をいたしますので,安心してお気軽にご相談ください。
大学病院の脳神経外科として,血管内治療や深部頭蓋底など境界領域の困難な症例に対しても,最良の結果が得られる体制で診療にあたっており,最新の設備で,各科と連携しながら専門医チームが最善の医療を患者さんに提供します。
また,急性期脳梗塞やくも膜下出血・脳出血などの急性期治療は,高度な医療設備と専門スタッフを備えた救命救急センターにて24時間365日手術などの治療に対応しています。
首都圏の医療施設の関係者さんにおかれましても,頭頸部疾患の患者さんでお困りのことがあればお気軽に日本大学脳神経外科にご相談ください。受診される患者さんのみならず,世界の方々に脳外科学で貢献していきます。
特徴・特色
脳神経外科治療は,大きく血管内治療・直達(開頭)術・内視鏡手術に分かれます。
治療法の選択は,疾患の部位によっては直達(開頭)手術と血管内治療のどちらがよいのかなど専門医による高度な判断が必要になる場合も多くあります。当講座では分野に特化することなく,各分野の指導医や専門医が協働したチーム医療を行っているため,患者さんにとっての最善の治療を提供でき,さまざまな治療の選択が可能であることが大きな特色と言えます。
特に深部の頭蓋底病変は限られた施設でのみ治療が可能な疾患でもありますが,大学脳外科の役割を果たすべく,脳および神経への損傷を最小限にする安全な頭蓋底手術を提供しています。血管内治療では,脳動脈瘤に対しての第一標準的治療である血管内治療「脳動脈瘤内コイル塞栓術」や硬膜動静脈瘻,頚動脈狭窄などカテーテルで手術することができる疾患,神経内視鏡施行を用いた内視鏡頭蓋底手術,脳腫瘍に対しての併用療法(化学療法,放射線療法,ワクチン療法など),脳血管障害などの,あらゆる難易度の疾患に対しても安全で質の高い治療を実践しています。
また,不随意運動(パーキンソン病など)や難治性疼痛(幻肢痛・視床痛など)に対し脳機能を修飾して機能改善を図る脳深部刺激療法(DBS)をはじめとした機能的神経外科にいたっては,日本定位・機能神経外科学会の事務局を務めるなど,本邦の草分け的専門分野です。それら機能的神経外科の研鑽と研究活動の蓄積のもとに,日本大学脳神経外科の伝統的分野と言えるのが神経モニタリング技術の高さです。実際の手術手技に加え,医療安全に欠かせない学術的分野の研鑽で,手術中に脳や脊髄の働きを保護する医療安全には重要な種々の高度な神経モニタリング(神経機能の連続監視)を活用しながら手術を進めていきます。
診療体制
一般外来
血管内治療,難易度の高い手術に加え,救命を目的とした緊急手術にも24時間365日対応しています。
脳深部刺激療法をはじめとした機能的神経外科,医療安全に基づいた最新の手術手技の開発など世界をリードする脳外科医療への貢献のため,大学が果たすべき教育の充実・研究にも積極的に取り組んでいます。
専門外来
脳腫瘍外来
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)参加施設であり,先進医療をご提供します。
小児脳腫瘍に関しては,日本小児がん研究グループJCCG参加施設です。
脳腫瘍は,術中神経モニタリング, ナビゲーションによる画像支援システム, 覚醒下手術, 5-ALAを用いた術中蛍光法, ICG術中血管撮影, 神経内視鏡などの技術・機器を利用することにより脳の機能を温存しつつ, 低侵襲で最大限の摘出が目指す手術に取り組んでいます。
外科的治療以外にも, 化学療法や放射線治療などを組み合わせた包括的な治療をおこなっています。
脳腫瘍の術後療法としては,腫瘍組織の遺伝子を調べて“オーダーメイド化学療法”を行います。同じ種類の脳腫瘍の中でも治療反応性に関与する遺伝子の発現は均一ではなく,遺伝子変異に基づいて治療効果が期待できる腫瘍用薬を選択する“オーダーメイド治療”は理想的な化学療法と考えられています。当施設では,患者さんのquality of lifeを考慮して,なるべく入院せず,副作用に十分注意しながら外来にて化学療法を行うようにしています。
間脳下垂体外科外来
主に下垂体腫瘍(下垂体腺腫,ラトケ嚢胞,など)や頭蓋底腫瘍(頭蓋咽頭腫,鞍結節部髄膜腫,斜台部脊索腫,など)の患者様を診療しています。
脳下垂体は生体にとって重要なさまざまなホルモンを分泌痛する臓器です。そのため,下垂体あるいはその周辺の腫瘍はホルモン分泌異常を多く合併します。これらの内分泌疾患に対しても,専門医による専門的な治療をご提供しています。
下垂体腫瘍および一部の頭蓋底腫瘍に対しては,神経内視鏡を用いた経鼻的手術を行なっています。この手術は,鼻の穴から内視鏡下に腫瘍へ到達して摘出するものであり,私達が得意とする手術の一つです。頭に傷が残らないと言う整容面の向上のみならず,技術認定医による低侵襲かつ安全な手術を行っています。
手術以外にも,定位放射線治療や薬物療法など,個々の患者様に合わせた最適な治療を模索,ご提案して参ります。
頭蓋底外科外来
頭蓋底などの脳と頭蓋骨の間に発生した腫瘍や血管疾患を主に取り扱っています。
頭蓋底腫瘍,さらには治療困難な脳動脈瘤や脳虚血疾患に対して頭蓋底手技や各種バイパス術を駆使しながら安全・安心な外科的治療を追求し,手術目的を完遂させるように努めてまいります。
機能的神経外科外来
パーキンソン病,不随意運動症,難治性疼痛に対する治療は本邦の草分けであり, トップクラスの症例数を有します。不随意運動や難治性の痛みなどに対する診療を行っています。脳の深部を電気的に刺激するという治療法を用い,高い成果を上げています。
脳血管内治療外来
脳動脈瘤に対しては, カテーテルを用いた血管内治療にて動脈瘤の内側をコイルで塞栓する方法と, 開頭によって動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟み込む方法があり, それぞれの患者さんにとって最適と考える安全な治療法を選択しています。
急性期脳梗塞に対して,静脈血栓溶解(rt-PA)療法や血栓回収療法を迅速に行うことで最善の治療を行っております。
脳卒中予防のための治療として, 狭窄した血管に対して カテーテルを用いた血管内手術によるステント留置術なども行っています。
脳血管外科外来
閉塞性血管障害(頚動脈狭窄,中大脳動脈狭窄など)による脳梗塞の外科的治療(狭窄した血管の内膜を切除する手術や血管のバイパス術)や,脳動静脈奇形,脳動脈瘤などあらゆる難易度の疾患に対しても安全で質の高い治療を実践しています。
小児神経外科外来
小児脳腫瘍,水頭症,二分脊椎,脊髄脂肪腫,もやもや病,脳動静脈奇形,頭部外傷などに対して各専門医による安全で質の高い治療を実践しています。
小児脳神経外科の疾患は多岐にわたりますので, 小児科,小児外科,形成外科,整形外科,眼科,耳鼻科,泌尿器科,放射線科,リハビリ科などとチーム医療による包括的な医療を目指します。
特に小児脳腫瘍に対しては,安全かつ最大限の腫瘍摘出を目標とした手術を目指しております。さらに術後も年齢・腫瘍局在・病理組織診断に応じて, 脳神経外科, 小児科(血液腫瘍科),放射線治療科で協議をおこない個々の患者さんに対して手術・化学療法・放射線治療を組み合わせたオーダーメイド治療をおこなっています。また小児脳腫瘍多職種診療チームカンファレンスを開催することで,情報を共有するとともに,妊孕性を含む長期フォローアップを行っています。
高次脳機能外科外来
脳神経外科疾患に起因する高次脳機能障害を対象とした外来です。
頭蓋顔面外科外来
頭蓋と顔面という従来からの診療科の枠を超えた,頭蓋顔面骨折や眼窩底骨折などを取り扱っています。
脊髄外科外来
脊椎・脊髄疾患では,変形性脊椎症や後縦靱帯骨化症の手術が半数におよびます。
脊髄腫瘍も,神経モニタリングを利用し,脊髄の機能を保護しつつ摘出することが可能となっております。
診療実績
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- 手術総数
- 392件
- 脳腫瘍手術
- 106件
- 頭部外傷手術
- 52件
- 小児神経外科手術
- 27件
- 脳血管障害(開頭)
- 30件
- 機能外科手術
- 7件
- 脳血管障害(血管内治療)
- 65件
- 定位手術
- 64件
- 血栓回収・tPA
- 23件
- その他
- 143件
-
- 手術総数
- 435件
- 脳腫瘍手術
- 81件
- 頭部外傷手術
- 58件
- 水頭症手術
- 18件
- 脳卒中の外科手術
- 50件
- 脳血管内治療
- 90件
- 定位・機能疾患手術
- 71件
- 小児神経外科手術
- 20件
-
- 手術総数
- 380件
- 脳卒中外科手術
- 71件
- 脳腫瘍手術
- 73件
- 脳血管内治療
- 40件
- 頭部外傷手術
- 60件
- 定位・機能疾患手術
- 66件
- 水頭症手術
- 50件
- 小児神経外科手術
- 20件
-
- 手術総数
- 463件
- 脳卒中外科手術
- 463件
- 脳腫瘍手術
- 71件
- 脳血管内治療
- 70件
- 頭部外傷手術
- 74件
- 定位・機能疾患手術
- 74件
- 水頭症手術
- 18件
- 小児神経外科手術
- 24件
令和元年度の診療実績
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- 開頭腫瘍摘出手術
- 53件
- 下垂体蝶形骨洞手術
- 8件
- 腫瘍栄養血管塞栓術
- 6件
- 頭蓋骨腫瘍
- 4件
- その他
- 0件
-
- 未破裂動脈瘤クリップ
- 18件
- 破裂脳動脈瘤クリップ
- 35件
- 開頭血腫除去術
- 48件
- 内視鏡下脳内血腫除去
- 10件
- 頸動脈ステント留置術
- 11件
- バイパス術
- 24件
- 頸動脈内膜剥離術
- 8件
- 脳動静脈奇形摘出術
- 3件
- t-PA 静注療法
- 18件
- 脳血管攣縮に対する血管内治療
- 11件
- 脳動静脈奇形(栄養血管塞栓)
- 3件
- 未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術
- 13件
- 破裂動脈瘤コイル塞栓術
- 16件
- 血栓回収療法
- 30件
- 硬膜動静脈瘻(血管内手術)
- 13件
-
- 脳深部刺激療法
- 13件
- 脊髄刺激療法
- 2件
- IPG交換
- 60件
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- 開頭血腫除去術
- 29件
- 慢性硬膜下血腫
- 78件
-
- 水頭症 シャント術
- 26件
- 脳室ドレナージ術
- 41件
- 第三脳室底改葬術
- 1件
-
- 脳膿瘍
- 4件
- 外減圧術
- 8件
- 頭蓋形成術
- 13件
- その他
- 37件