ごあいさつ
ABO式とRh式の血液型は良く知られていますが,それ以外に約34種類の血液型があります。その全ての血液型を患者さんと適合させて輸血することは不可能ですので,輸血や妊娠などによって産生された不規則抗体(主に赤血球に対する抗体)を検出し,溶血反応が起きないような輸血製剤を24時間勤務体制で患者さんに供給するのが輸血・細胞治療センターの大きな仕事です。また,細胞治療としては造血幹細胞移植に関連した業務や再生医療等製品の細胞調整業務なども行っています。私達は,臨床検査技師の国家資格を取得し,更に認定輸血検査技師や細胞治療認定管理師の資格を取得するなど,安全で安心な輸血医療に貢献できるよう日々研鑽に努めております。また,正確で信頼性のある検査結果を提供するために,臨床検査部と連携してISO15189を取得し運用しています。輸血・細胞治療に関連した事故や副作用は,大きな社会問題を引き起こしますが,私達は患者さんの一日も早い回復を願い,安全性の高い効果的な輸血医療を提供したいと思っています。
輸血・細胞治療センター技術長
並木 浩信
スタッフ紹介
- 輸血認定医師
- 1名
- 看護師
- 1名
- 認定輸血検査技師および細胞治療認定管理師を含む臨床検査技師
- 11名
- 事務職
- 1名
輸血関連業務
輸血製剤の管理
- 赤血球製剤,血小板製剤,血漿製剤の発注・保管・供給・副作用調査を行っています
- 赤血球製剤,血小板製剤には移植片対宿主病予防のために,放射線照射がされています
- 各製剤は厳重に温度管理された保存庫で管理しています
アルブミン製剤の管理・供給
- 等張アルブミンと高張アルブミンを管理・供給しています
- 効能・効果はアルブミンの喪失及び合成低下による低アルブミン血症や出血性ショック等です
血液型検査
- 輸血を予定している全ての患者さんに対して,ABO血液型及びRh(D)血液型を検査します
- ABO血液型及びRh(D)血液型は,主に血液型分析装置にて検査します
- 亜型検査を実施しています
不規則抗体スクリーニング及び同定
- 輸血を予定している全ての患者さんに対して不規則抗体検査を実施します。
不規則抗体が検出された場合は,特異性を同定します - 溶血反応を起こす可能性のある抗体が存在する場合は,抗体と反応しない輸血製剤を供給します
交差適合試験
- 患者さんの血液と輸血製剤の間でABO血液型適合性と不規則抗体による不適合がないか検査します
- 赤血球製剤のみ交差適合試験を実施します
直接・間接抗グロブリン試験
リンパ球・造血幹細胞などの表面マーカー検査
- フローサイトメトリー法で測定します
- リンパ球表面マーカーは,CD3,CD19,CD4,CD8,NK細胞を検査しています
- 造血幹細胞マーカーは,CD34を検査しています
自己血・細胞治療関連業務
自己血の採血・分離・保存
- 全身状態が良好で待機的手術の患者さんに対して,自己血の採血,赤血球と血漿へ分離,保存をしています
- 手術中や術後の輸血に使用します
末梢血幹細胞の採取・保存
- 白血病などの血液疾患や小児悪性疾患などに対して,末梢血中の造血幹細胞を移植(輸注)する治療法です
- 遠心型血液成分分離装置を用いて採取します
- 自家末梢血幹細胞及び同種末梢血幹細胞(血縁者または骨髄バンクなどの非血縁者)を採取し保存しています
ドナーリンパ球の採取・保存
造血幹細胞移植後の患者さんに白血病の再発などが起こった時に,ドナー(造血幹細胞の提供者)の方からリンパ球を採取し輸注する治療法です。
顆粒球の採取・分離・保存
顆粒球がほとんどない状態の患者さんに,健康な供血者から顆粒球を採取して輸注することにより感染症を改善させる治療法です。
骨髄採取液の濃縮
- 末梢血幹細胞移植と同様に,ドナーから正常な骨髄細胞を採取して患者さんに移植する治療法です
- ABO血液型が不一致の時や輸注量が多いときに,血球成分や血漿成分を除去して濃縮します
再生医療等製品の保管・解凍
施設認定
- 日本輸血・細胞治療学会認定医制度指定施設
- 認定臨床輸血看護師制度指定研修施設
- 認定輸血検査技師制度指定施設