診療内容

当院の痛みセンターは,薬物治療や神経ブロックなど治療を受けても,痛みのために日常生活が困難になっている慢性痛患者さん(がんに関連する痛みや慢性痛治療に伴う苦痛を含む)に,一人一人の痛みの原因,加えて痛みの対応法を見つけるための診療部門です。

特徴・特色

診察の仕方は,看護師,薬剤師,精神科医,ペインクリニック医の多職種が順番に診察し(図1,2),総合的な評価に基づいて,痛みを作り出している原因を見出し(図3),原因に基づいた具体的な痛み対応法を提案します。

  • *図1 痛みセンターの他職種による診察の順番
    図1 痛みセンターの他職種による診察の順番
  • *図2 複雑に絡み合った痛みの原因探し
    図2 複雑に絡み合った痛みの原因探し
  • *図3 見えてきた痛みの原因
    図3 見えてきた痛みの原因

当センターでは痛みの治療は行っていません。

痛み治療先の決定は,患者さんそれぞれの痛みの原因と必要な痛みの対応法に基づいて,患者さんのご希望を訊ねながら,当院の診療科(ペインクリニック,リハビリ,整形外科,脳外科,精神科など),紹介頂いた医療機関と当院の診療科との医療連携,あるいはご紹介を頂いた医療機関などでの継続などになります(図4)。

*図4 痛みセンターと地域医療機関との連携体制
図4 痛みセンターと地域医療機関との連携体制

当センターは「厚生労働省慢性痛み政策研究事業の集学的痛みセンター施設認定」を受けています(図5)。

*図5 厚生労働省慢性痛み政策研究事業の集学的痛みセンター施設認定
図5 厚生労働省慢性痛み政策研究事業の集学的痛みセンター施設認定

痛みセンター新設の背景

通常の痛み治療で効果が乏しい慢性痛患者さんに集学的(総合的)な痛み診察に基づいた痛み対応の有用性は海外ですでに報告されています。しかし,本邦では,慢性痛患者さんに集学的な痛み診察治療は始まったばかりです。

当院の痛みセンターは,2014年4月に新設しました。従来の診療科である内科,小児科,整形外科,ペインクリニック科などを受診し,検査を受けるも痛みを引きおこす病気は認めなかったものの,痛みの原因は不明のまま,痛みの軽減が得られない慢性痛患者さんを対象に,痛みの原因を集学的(総合的)な診察を通じて見つけ出すことを目的にした新しい診察部門です。

受診された慢性痛患者さんの特徴

  • 痛みの原因を知りたい
  • 検査をしても痛みの原因が見つからない
  • 薬の治療・神経ブロック治療が無効
  • 痛みの原因は精神的な問題と決めつけられた
  • 慢性痛についての最新情報が知りたい
  • がんは治ったが医療用麻薬が止められない
  • 痛みが原因で家事,仕事,登校ができない

診療体制

外来診察日の予約方法とご協力のお願い

木曜日午前中の完全予約制です。

  • 受診を希望される患者さんは紹介状を準備して頂き,受診前に必ず電話で予約をお願いします
  • 初診時には,看護師,薬剤師,精神科医,ペインクリニック医が順番に診察するため合計診察時間は約4時間ほどになりますで,お時間にゆとりのある日のご予約をお願いします
  • 予約の際は日時の決定に加えて,痛みの原因を見出すための情報を収集のために,電話対応の事務担当者から,簡単なご質問をさせて頂いていますので,ご理解とご協力を宜しくお願いします。頂いた情報は,痛みの原因を見出すために診察者間で共有をしています
  • 予約日時決定後に,痛みの原因・適切な痛み対応法を見出すために必要な各種問診質問表をご自宅に郵送させて頂いています。ご自宅で記入して頂きまして,初診時に問診質問表を持参し,2階特診受付に提出していただくようにお願いします

予約の連絡先

痛みセンター担当事務受付

TEL
03-3972-8111 内線 3236
予約受付時間
月曜〜金曜 午後2:00〜3:00の1時間のみ

よくあるご質問

慢性痛は急性痛と違うと聞いたのですが,何が違うのでしょうか?

身近に遭遇する痛みは,ケガ・打撲・骨折などの外傷,病気に伴う腹痛,風邪に伴う頭痛などがあります。このような痛みは,体の異常を教えてくれる警告としての痛みです。このような痛みは,治療により軽減・消失する急性痛であり,痛みは症状として対応されています。一方,慢性痛は警告ではなく,痛みの病気です。最近では,慢性痛は急性痛の原因とは全く異なり,痛みの続く期間も3か月以上という定義がされています(表1)。更にWHOの新しい疾患分類(ICD-11)に初めて慢性痛が系統的に掲載されるようになり(表2),医療分野及び社会において慢性痛の認知度の向上が期待されています。疫学的には,慢性痛の頻度は成人では2人に1人と高頻度であること,こどもも3-4人に1人と同様に頻度が高い事実が報告がされています。

表1 急性痛と慢性痛の違い

  急性痛 慢性痛
急性痛を繰り返す慢性疼痛,
急性痛が遷延化した慢性痛
難治性慢性痛
痛みの原因 侵害受容器の興奮 侵害受容器の興奮 中枢神経系の機能変化,心理社会変化的要因による修飾
持続時間 組織の修復期間を超えない 組織の修復期間をやや超える 組織の修復期間を超える(3か月以上)
主な随伴症状 交感神経機能亢進(超急性期) 睡眠障害,食欲不振,便秘,生活動作の抑制 睡眠障害,食欲不振,便秘,生活動作の抑制
主な精神症状 不安 抑うつ,不安,破局的思考 抑うつ,不安,破局的思考

”I.総論 CQ2” 慢性疼痛治療ガイドライン,慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ編1 真興交易医書出版部 17, 2018

表2 新たな慢性痛の分類(ICD-11)

3か月以上持続する痛み
慢性一次性疼痛
  • 慢性広範疼痛症(非特異的腰痛,線維筋痛症など)
  • 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
  • 慢性一次性頭痛・口腔顔面痛
  • 慢性一次性内臓痛
  • 慢性一次性筋骨格痛
慢性二次性疼痛
  • 慢性がん関連疼痛
  • 慢性術後痛・外傷後疼痛
  • 慢性神経障害性疼痛
  • 慢性二次性頭痛・口腔顔面痛
  • 慢性二次性内臓痛
  • 慢性二次性筋骨格痛

慢性痛の治療目標は急性痛の治療目標と違うと聞いたのですが,何が違うのでしょうか?

慢性痛の治療の目標設定は,痛みを減らして日常生活でできることを1つでも2つでも取り戻すことです。痛みの強さについては,初診時の痛みの1割減,そして2割減,3割減,5割減という段階的な目標を設定しています。慢性痛患者さんに,このような治療目標の新しい指標を知ってもらい,治療者と共有することが,慢性痛治療を開始する際に大事な点の1つです。

日大板橋病院痛みセンターの集学的診察とはどのような診察スタイルですか?

集学的という言葉は,多面的に,総合的にという意味とほぼ同じ意味になります。慢性痛患者さんを中心に考えて,看護師の視点から,薬剤師の視点から,精神科医の視点から,ペインクリニック医の視点から多面的に関わるプロセスを通じて,これまでに患者さんも医療者も気づいていなかった慢性痛の原因を見出すため新しい診察スタイルです。

各職種の診察はどのような内容ですか?

看護師診察

長く痛みに悩まされている方たちの,今までの症状と経過を丁寧にお聴きします。また,痛みが続くことで,お気持ちや生活も変化しているのではないでしょうか。痛みセンターにいらっしゃる方で,実際にお仕事やご家庭内へも影響が出ている方が多くいらっしゃいます。そして,ご自身では痛みとは関係ないと思うような出来事が痛みに関連していることもありますので,看護師診察では,痛み以外のことでもどうぞお話しください。痛みに関連した不具合が,少しでも良い方向に向かうようサポートさせていただきます。

薬剤師の診察はどのような内容ですか?

痛みセンターに受診される患者さんの多くは過去,そして現在も痛み止めを服用されていて,痛みがとれていない状態だと思います。当然,痛みは人それぞれですので痛みの原因や治療薬も一人一人違ってきます。薬剤師は服用されているおくすりの状況や痛みの特徴,痛みが日常生活へどの程度支障があるかなどを伺いどのお薬が適切かを判断します。今まで服用されたおくすりが本当に適切であったか,目の前の患者さんが抱える痛みに対してどのようなおくすりがおすすめできるかを考え,患者さんへの安全性を考慮しながら医師に推奨しています。

精神科医診察

精神科医が痛みセンターの初診で気にかけているのは,第一に気分障害(うつ病や双極性障害)や不安障害(パニック障害や社交不安障害)などの治療可能な精神的な問題がないか,ということです。抑うつ気分,食欲低下,不眠などがみられる方は多いのですが,それらの症状が脳の機能的な不調によって起きているようであれば,薬物療法や精神療法などのアプローチの併用をご提案することがあります。
第二にご自身の性格やご家庭などでのストレスが痛みを強める要因になっていないか,ということにも気をつけています。完璧主義の方,心配性で真面目な方ほど,不安から痛みやしびれなどの身体症状に過剰にとらわれてしまうことが多いものです。不安になる場面を避けることで運動不足から痛みの悪化を引き起こすこともありますし,人間関係のストレスから不安,筋緊張が強まっていらっしゃるケースもあります。ペインクリニック医へ痛みの精神状態の関連の有無や程度などを含めて引き継ぎます。

ペインクリニック医診察

最後のペインクリニック医の診察は,各診察者が診察した内容を把握した上で診察を始めることになります。まず,小児期からの痛み体験(体の辛かった体験,気持ちの辛かった体験)から訊ねさせてもらいます。続いて,現在の痛みの発症から受診までの痛みの経過,強さ,性質,生活への影響,治療歴とその効果についてなどの詳細な問診と身体診察をしています。以上から,他院での検査結果,多職種診察の結果を総合して,推定される痛みの種類と原因,慢性痛のメカニズムを分かりやすく説明しています。最後には,具体的な対応法,具体的な治療目標を提案しています。

これまでに痛みセンターを受診された患者数は何人いらっしゃいましたか?

2014年4月から2021年3月末までの7年間に425名の新患患者さんを診察しています。

痛みセンター初診後の実際の痛み対応法にはどのような方法がありますか?

慢性痛患者さんの痛みの原因もそれぞれ異なるために,痛みの対応法も一人一人異なります。看護師診察,薬剤師診察,精神科医診察,ペインクリニック医診察が終了後に,患者さんと医療者がその時点で共有,理解した痛みの原因に関する情報に基づいて,具体的な方法は,認知行動療法,運動療法,薬物療法,神経ブロック療法,脊髄電気刺激療法などが挙げられますが,一人一人の痛みの原因,加えて心理・社会的要因の修飾の強弱,お住まいの場所などを総合的に評価して最終的な方法を決めています。

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