放射線治療 中央放射線棟地下3階

放射線治療とは

高エネルギーのエックス線や電子線などの放射線をがん細胞へ照射することによって,がん細胞を死滅させる治療です。 体の外側から放射線を照射する外部照射(直線加速器ライナック)と,体の中に放射線を放出する物質を入れて体の内側から治療する内部照射(密封小線源療法)があります。

対象は,脳腫瘍,頭頸部癌,乳癌,肺癌,食道癌,子宮頸癌, 前立腺癌,膀胱癌,悪性リンパ腫,骨・軟部腫瘍,白血病,小児腫瘍など全ての領域にまたがっています。また,骨転移や末期で痛みに苦しむ患者さんの疼痛緩和にも使用されます。

放射線治療部門のご紹介

当院の治療部門には外部照射装置2台,内部照射装置が1台あります。
画像誘導放射線治療(IGRT:Image-Guided Radiotherapy),強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy),画像誘導密封小線源治療(IGBT:Image-Guided Brachytherapy)など,従来よりも高精度な放射線治療を可能としています。

第1ライナック室
第1ライナック室
第2ライナック室
第2ライナック室
小線源治療装置
小線源治療装置

スタッフより

スタッフは放射線治療医3名,診療放射線技師8名,看護師4名,看護助手1名です。
当院では安全かつ高精度な治療を実施すべく,装置点検・管理を日々行っています。その一環として,第三者機関による測定評価を受けています。更に,放射線治療品質管理士,放射線治療専門技師,医学物理士を配属し精度管理に努めています。
何か気になることがあれば,お気軽に声をかけてください。

放射線治療を行うまでの流れの一例

  1. STEP1. 治療計画

    専用の治療計画CT装置を用いて撮影を行い,病変の大きさや位置などを正確に把握します。次に,治療計画装置を使って,患者さん一人一人の目的にあった治療計画を作成します。
    外部照射の場合,治療計画CT撮影時に皮膚に印をつけ,必要に応じて患者さん専用の固定具を作成する場合もあります。

    治療計画CT装置
    治療計画CT装置
    治療計画装置
    治療計画装置
    頭部固定具
    頭部固定具
  2. STEP2. 照準(プロジェクション)

    実際に治療室に入っていただき,STEP1の治療計画に沿って,正確な位置に放射線が照射できるようにするための作業を行います。その際,確認のための撮影を行います。また,新たに皮膚に印をつける場合があります。

  3. STEP3. 放射線治療

    STEP2の照準(プロジェクション)で正確な位置決めを行っているので,あとは放射線治療を行うだけです。治療中の痛みは何も感じませんので,安心して治療を受けることができます。

    実際の治療室の様子
    実際の治療室の様子
    実際の治療室の様子

固定照射

高エネルギーのX線を発生させる装置を,リニアック(直線加速器)またはライナックといいます。別名,高エネルギー放射線治療装置ともいいます。この装置から発生する電子線やX線を多方向から正確に照射します。病状や治療目的により,放射線腫瘍医が治療方法や回数を決めます。治療は通常,月曜日から金曜日までの週5日間,数週間かけて実施します。このようにすることでがん細胞を死滅させるのに十分な放射線量を照射し,一方で正常な細胞には回復するための時間を毎日与えることができます。

主な対応疾患
脳腫瘍,上顎癌,口腔癌,咽頭癌,喉頭癌,舌癌,乳癌,肺癌,縦隔腫瘍,食道癌,膀胱癌,子宮頸癌,子宮体癌,骨・軟部腫瘍,皮膚癌,ウィルムス腫瘍,小児腎腫瘍,白血病,ケロイド,血管腫,翼状片など
乳癌に対する固定照射による線量分布
乳癌に対する固定照射による線量分布

三次元原体照射

三次元原体照射(3D-CRT)は,最初に治療計画上でCT・MRI・PETなどの画像を使って病変の大きさや形・部位を特定し,がんと周囲組織を立体的に再現します。複数の角度からがんの大きさと形状に合わせて,集中して均一に照射することができます。正常組織への影響がなるべく少なくなるように工夫されており,現在多くの病院でこの方法が用いられています。

主な対応疾患
脳腫瘍,上顎癌,口腔癌,食道癌,肺癌,前立腺癌,膀胱癌,直腸癌,肛門癌など

前立腺癌に対する三次元原体照射による線量分布

前立腺癌に対する三次元原体照射による線量分布
前立腺癌に対する三次元原体照射による線量分布

強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)

治療計画装置による最適化計算により,がん組織には高い放射線量を与え,さらに隣接する正常組織には放射線量を低く抑えることを可能にした治療方法です。がんに対して理想的な放射線量で多方向から放射線を照射することにより,がんの形状に一致した部分へ集中性の高い線量を照射する高精度放射線治療です。

例えば前立腺がんの場合,主にがん組織がある部分だけを治療し,正常組織(直腸,膀胱など)へのダメージを可能な限り抑えることで合併症のリスクを低減することができます。

主な対応疾患
脳腫瘍,咽頭癌,肺癌,肝癌,胆道癌,膵臓癌,前立腺癌,子宮頸癌など
前立腺癌に対するIMRTによる線量分布
前立腺癌に対するIMRTによる線量分布

赤く表示されている箇所は放射線が集中して当たります(前立腺)。
青く表示されている箇所は放射線があまり当たりません(直腸)。
つまり,直腸へのダメージを少なくすることが可能です。

子宮頸癌に対するIMRTによる線量分布
子宮頸癌に対するIMRTによる線量分布

定位放射線治療(SRT:stereotactic radiotherapy)

病巣に対し多方向から放射線を集中させる方法です。通常の放射線治療と比較し,周囲の正常組織にあたる線量を極力減少させることが可能です。病気の種類にもよりますが,4.5回の照射で治療を完了することができます。また1回の照射で終わる場合を特別に定位放射線手術といい,小さな病巣に有効な治療法です。

更に,当院では患者さんの呼吸による病巣の移動を考慮した呼吸同期定位放射線治療も実施しています。つまり,患者さんの呼吸状態に合わせて放射線を照射するので,正常組織により負担の少ない治療をすることが可能です。

主な対応疾患
脳腫瘍,肺癌,肝癌など
肺癌に対する定位放射線治療による線量分布
肺癌に対する定位放射線治療による線量分布
呼吸同期定位放射線治療での位置確認の様子
呼吸同期定位放射線治療での位置確認の様子

組織内照射

放射性同位元素(コバルト60,セシウム137,イリジウム192,金198など)を,管・針・ワイヤー・粒状などの形状となった容器に密封して,がん組織やその周囲組織に直接挿入します。

当院では,前立腺癌に対し125ヨード針(シード)を用いた小線源永久挿入治療を行っています。
泌尿器科,麻酔科,放射線治療科の連携の下で,より安全で正確な治療を行っています。

主な対応疾患
前立腺癌,舌癌など

前立腺癌に対する組織内照射

前立腺癌に対する組織内照射
前立腺癌に対する組織内照射

腔内照射

小線源治療装置(RALS:Remote After Loading System)を利用します。子宮内にアプリケータと呼ばれる器具を挿入し,放射線源を送り込むことで治療します。当院では主に子宮頸癌の治療に用います。近年は,そのアプリケータを挿入した状態でCT撮影を行い,画像上で病変部と正常組織の位置や投与線量を正確に把握することで高精度な治療が可能となっています。

主な対応疾患
子宮頚癌,子宮体癌など
膣腔内にアプリケータを挿入し放射線治療を行う
2D治療計画 膣腔内にアプリケータを挿入し放射線治療を行う

子宮頸癌に対する腔内照射(RALS)の様子

子宮頸癌に対する腔内照射(RALS)の様子
2D治療計画
子宮頸癌に対する腔内照射(RALS)の様子
3D治療計画

お願い

  • 放射線治療を正確に行うために,照射する部位によっては体に専用ペンでしるしを描かせていただく場合があります。入浴される際は,しるしを消さないようにご協力お願い致します。また,しるしは日常生活を送るだけでも薄くなってしまいます。その場合は,放射線技師が再度しるし描き致しますので,ご自身で行うことがないようにしてください
  • 放射線治療では予約時間を設けております。基本的にはご予約時間に沿って進めて参ります。しかし,装置のトラブルや容態の悪い患者さんを緊急で行う場合など,ご予約時間に放射線治療を行えない場合があります。早急に対応致しますが,待つことをご了承ください

照射件数・内訳

照射件数
2020年度 10,919
2021年度 10,782
2022年度 10,644
強度変調放射線治療 定位放射線治療 密封小線源治療 その他の
放射線治療
2020年度 2,492 42 115 8,270
2021年度 3,094 36 125 7,527
2022年度 3,451 32 71 7,090

単位:件

Q&A

放射線治療は毎日する必要があるのですか?

放射線治療は,その効果を得るために必要な治療回数を受けていただきます。その回数は人それぞれで,対象部位や治療方法によって大きく異なります。1日(1回)で終わる場合から2ヶ月程度(40回程度)を要する場合があります。

1回の治療はどのくらい時間がかかるのですか?

治療時間は人それぞれで,約10分程度から約1時間必要な場合もあります。詳しくは,主治医,技師,看護師などスタッフにお聞きください。

放射線治療の副作用にはどのようなものがありますか?

放射線治療の副作用には全身的なものと局所的なものがあります。全身的なものでは,個人差があり放射線をあて始めてしばらくすると少し体が疲れやすくなることや,場合により貧血気味になることもあります。
局所的なものでは,放射線をあてている部位が日焼けのように赤くなったり,かさついたりする場合があります。
副作用は放射線をあてる位置や方向,範囲によって異なりますが,一時的なものが大半で,全ての放射線治療が完了すると回復する場合が多いです。担当医師が治療前に説明し,治療中も診察をおこないながら進めていきますので,ご安心ください。

放射線治療中に痛みはありますか?

放射線をあてている時には痛みを感じません。また治療中は,動かずにじっとしている必要があります。

外来診療受付時間
月〜金曜日 土曜日 日曜・祝日
紹介状あり

休診日
紹介状なし
再診

8月31日・10月5日・年末年始(12月30日~1月3日)・1月11日は休診

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