核医学検査室(アイソトープ室) 大学院棟地下1階
核医学検査とは
核医学検査は、ガンマ線という微量な放射線を放出するラジオアイソトープ(RI)を含んだ放射性医薬品を体内に投与し、専用のカメラで捉える事で、臓器の機能や代謝の様子を画像化し病態の把握、治療効果判定等に役立てる事が出来る検査です。
放射線医薬品には比較的半減期の短いRIを用いており、一定時間後は体の外に排泄される事などから、被ばくを抑え安全に検査することができます。
当院で行っている核医学検査
- 骨シンチグラフィ(骨転移の存在評価,代謝性骨疾患,疲労骨折の検出等)
- 脳血流シンチグラフィ(認知症,てんかん,脳動脈狭窄症や脳梗塞における脳血流異常の検出等)
- 腫瘍シンチグラフィ(悪性腫瘍,炎症性疾患等)
- オクトレオスキャン(神経内分泌腫瘍の診断におけるソマトスタチン受容体シンチグラフィ)
- 脳受容体シンチグラフィ(てんかん焦点の診断)
- 心筋血流シンチグラフィ(虚血性心疾患,その他心疾患)
- 心筋脂肪酸代謝(虚血性心疾患,心筋症,その他心疾患)
- 心交感神経(心不全の予後や治療効果判定,パーキンソン病,レビー小体型認知症等)
- PYPシンチグラフィ(心アミロイドーシス)
- 甲状腺シンチグラフィ(甲状腺機能亢進症,低下症,甲状腺炎等)
- 副甲状腺シンチグラフィ(副甲状腺機能亢進症,腫瘍等)
- 唾液腺シンチグラフィ(唾液腺腫瘍,シェーグレン症候群等)
- 肺血流シンチグラフィ(肺塞栓症,肺高血圧症等)
- 肝シンチグラフィ(肝切除術,肝硬変等)
- 肝胆道シンチグラフィ(乳児黄疸,胆管閉鎖・狭窄等)
- 腎シンチグラフィ(腎盂腎炎,閉塞性腎疾患等)
- 副腎髄質シンチグラフィ(褐色細胞腫,神経芽腫)
- 出血シンチグラフィ(消化管出血)
- 骨髄シンチグラフィ(骨髄異形成症候群等)
- センチネルリンパ節シンチグラフィ(乳がん術前)
- リンパ管シンチグラフィ(リンパ浮腫)
当院で行っているRI内用療法(セラノスティクス)
神経内分泌腫瘍(NET)に対するルタテラⓇを使用したペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)
NETでは、高い確率で腫瘍細胞に「ソマトスタチン受容体」が発現しています。その特徴を利用して、体内から腫瘍に放射線を照射する治療法がPRRTです。
ソマトスタチン受容体に結合する物質(ペプチド)に放射線を出す物質(放射性核種)を結合させた薬剤を投与することで、腫瘍に薬剤を取り込ませ、放射線により腫瘍細胞を破壊します。
PRRTは、NETの治療法として欧米では広くおこなわれています。日本でもソマトスタチン受容体を発現しているNETに対する治療法として保険承認され、当院でも2025年より治療を行うことが出来るようになりました。
転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対するプルヴィクトを使用したルテチウムPSMA治療
前立腺がんに対する新しい放射線治療が保険適応となりました。
前立腺がんの腫瘍細胞表面には、PSMA(前立腺特異的膜抗原)というタンパク質が多く発現しています。放射性リカンド療法に用いるプルヴィクトは、PSMAに結合するリカンドとβ線を出すLu-177という放射性物質を結合させた薬剤であり、点滴により前立腺がん細胞内部に取り込まれ、腫瘍細胞の内側から放射線障害を与えます。
当院でも、2026年3月より、プルヴィクト静注による去勢抵抗性前立腺がんに対する放射性リカンド療法を開始しています。
検査室で点滴を行った後は、核医学治療のための特別措置病室に入院していただきます。
患者様やご家族の不安を少しでも軽減できるよう、医師をはじめ専門知識をもった医療スタッフが入院前から丁寧な説明を実施します。
医療機関の先生方、対象となる患者さんにつきましては、 医療連携室を通じてご相談・ご紹介ください。
スタッフより
アイソトープ室では,診療放射線技師,放射線科医,日本核医学会認定の専門医,循環器内科医と共に検査,治療を行なっています。
アイソトープ検査は患者さんへの負担が少なく,古くから安全性の確立した検査ですが,アイソトープによる被ばく等を不安に思われる患者さんも少なくありません。検査で不安なことやわからないことがございましたら,お気軽にご相談ください。
検査を受けられる方の中には,小さなお子様も多くいらっしゃいます。
小児の放射性医薬品の投与量は,検査内容やお子さんの体重を元に小児核医学検査適性施行のコンセンサスガイドラインから適切な投与量を決めて検査を行なっています。
スタッフ一同,患者さんに安心して検査を受けていただけるよう心掛けております。
核医学検査でどんなことがわかるの?
心筋血流シンチグラフィ
冠動脈が動脈硬化などで狭くなると、心臓の筋肉の血流が悪くなって心筋が酸素不足になり胸の痛みが生じます。これが狭心症です。さらに動脈硬化が進み、完全に詰まって心筋に血液が流れなくなった状態が心筋梗塞です。冠動脈から心筋への血液の供給が障害されていないかどうかを知る為に心筋血流シンチグラフィ検査を行います。
収集した画像は、QGS(心機能解析ソフトウェア)、Heart Risk View-Fで解析をし、虚血の定量評価、左室機能(LVEF)の評価、左室同期不全の評価等を行います。
検査方法
- 薬を入れるために点滴用の針を入れ、放射性医薬品(1回目)を入れます
- 乳製品と軽食をお取りいただき(1回目)、心臓以外に集まる放射性医薬品の排泄を促します
- 20分程度カメラで撮影します(安静時の撮影)
- 運動や薬を使って心臓に負担をかけながら、放射性医薬品(2回目)を投与します
- もう一度、乳製品と食事をとります
- 30分程度撮影します(負荷時の撮影)
脳血流シンチグラフィ
脳血流シンチグラフィで脳血流の低下の程度やその領域を調べ、認知症、てんかん、脳動脈狭窄症や脳梗塞などの診断に役立てます。
また、もやもや病、頸動脈ステント留置術(CAS)や頸動脈内膜剥離術(CEA)の手術前検査として、アセタゾラミド(ダイアモックス®)負荷による脳血流および脳循環予備能を調べる検査を行い、手術後の過灌流症候群等のリスク判定などに役立てています。
脳血流SPECT検査解析結果
検査方法
- ベットに寝ていただき、放射性医薬品を腕の静脈に注射します
- 目隠しをして、40分〜1時間撮影します
ドパミントランスポータシンチグラフィ
脳の線条体におけるドパミントランスポーター(DAT)の分布を画像にすることで、ドパミン神経の変性・脱落を伴うパーキンソン病(PD)を含むパーキンソン症候群(PS)の早期診断やレビー小体型認知症(DLB)の診断精度の向上、治療方針の決定に役立てます。
検査方法
- 放射性医薬品を静脈注射します
- 4時間後、ガンマカメラに仰向けに寝ていただき30分程度撮影をします
ドパミントランスポーターシンチ検査結果
日本人の健常成人データーベースを利用した定量評価を行います。
脳のドパミン神経細胞の変化をとらえ、診断に役立てます。
骨シンチグラフィ(骨転移の存在評価、代謝性骨疾患、疲労骨折の検出等)
検査方法
- 放射性医薬品を静脈注射します
- 4時間前後自由時間です
- 検査直前に排尿していただきます
- ガンマカメラに仰向けに寝ていただき、30分前後撮影します
センチネルリンパ節シンチグラフィ(乳がん術前)
検査方法
- 放射性医薬品を手術側の乳房に注射します
- 2時間後、15分程度撮影します
- 0.3ml程度微量の放射線が出お薬を注射します
- 2時間後にセンチネルリンパ節に薬が集まり、位置がわかりやすくなります
色素法とRI法を併用し、センチネルリンパ節を同定しています。
手術中は前日に描出されたセンチネルリンパ節を体表からガンマプローブで確認し、さらに色素法で肉眼でも確認し、センチネルリンパ節として摘出します。
検査実績
| 検査名 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| 心筋シンチ | 707 | 760 | 816 |
| 心筋アミロイド | 70 | 73 | 168 |
| 脳血流シンチ | 186 | 206 | 208 |
| ドパミントランスポータシンチ | 118 | 121 | 133 |
| 腫瘍シンチ | 68 | 57 | 38 |
| 肺血流シンチ | 35 | 32 | 35 |
| 副甲状腺シンチ | 13 | 14 | 11 |
| アドステロールシンチ | 3 | 5 | 3 |
| 腫瘍MIBGシンチ | 23 | 16 | 23 |
| 骨シンチ | 324 | 285 | 303 |
| 唾液腺シンチ | 165 | 128 | 98 |
| 甲状腺シンチ | 17 | 21 | 17 |
| 腎シンチ | 66 | 56 | 62 |
| センチネルリンパ節シンチ | 211 | 224 | 249 |
| オクトレオスキャン | 4 | 3 | 3 |
| その他 | 62 | 40 | 46 |
単位:件
アイソトープ室までのご案内
1階よりお越しの方
自動再来機で受付手続きを済ませ,エレベータもしくは近くの階段で地下1階へ移動します。
会計受付12番窓口付近の大学院棟への渡り廊下を進み,アイソトープ受付までお越しください。
アイソトープ室と骨密度検査室は同じ受付です。
地下1階よりお越しの方
自動再来機で受付手続きを済ませ,会計受付12番窓口付近前の大学院棟への渡り廊下を進み,アイソトープ受付までお越しください。
アイソトープ室と骨密度検査室は同じ受付です。
核医学検査 Q&A
放射性医薬品とはどんな薬ですか?
この薬には,放射線を出すアイソトープが含まれています。この放射線を,ガンマカメラという装置で受け止め,外から見えない病気の場所や状態を画像にします。
注射された放射性医薬品は,その多くが目的の臓器や器官に集まったあと数時間から遅くても数日で減衰し,尿や便と一緒に体外に排泄されます。
核医学検査で副作用はありませんか?
放射性医薬品による副作用はごくまれで, 1年間で10万人あたりに1~2人と非常に少ないの が特徴です。
食事はしても良いですか?
検査の内容によって異なりますが,直前のお食事,お茶やコーヒーなどのカフェインを控えていただく場合があります。
検査のあとは普段通りの生活ができますか?
食事や入浴,運転などに制限はありません。
どのくらい被ばくしますか?
核医学検査1回あたりの被ばく線量は,使う放射性医薬品の種類や,体重,成人か乳幼児かなどによって異なりますが,X線検査やCT検査で受ける被ばく線量と同程度と考えられます。