臨床検査医学分野教授、臨床検査医学科部長、臨床検査部長 中山智祥のコラム<第2回>
臨床検査部
遺伝学的検査の受付け(先進医療とそれ以外の遺伝病)
第1回のコラムで、医療において遺伝子を検査するものを総称して遺伝子関連検査といい、病原体の遺伝子(核酸)を調べる病原体核酸検査、遺伝しない多くの癌細胞の遺伝子を調べるヒト体細胞遺伝子検査、遺伝する可能性があり、生涯変化しないものを調べるヒト遺伝学的検査の3つに分類されることを説明しました。
親から子へ遺伝する代表的なものとして単一遺伝子疾患があり、特定の遺伝子が原因となるため、この原因を調べることはヒト遺伝学的検査では重要な位置づけとなっています。2017年3月現在72の単一遺伝子疾患が保険診療で実施可能ということになっていますが、現実的にはそれを実施する全国の臨床検査施設にとって採算性などの問題から受託していない疾患が少なくありません。しかも遺伝病の数は10,000疾患くらい存在しているとされているので、頻度の少ない疾患の遺伝学的検査の体制が課題となっています。
我が国では保険診療の対象に至らない先進的な医療技術等と保険診療との併用を認めたものとして先進医療があり、16の遺伝学的検査が対象になっています。そのうち当院では臨床検査医学科にて多発性内分泌腫瘍症1型(Multiple endocrine neoplasia: MEN type 1、エム・イー・エヌ ワン)(原発性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺腫、膵ランゲルハンス島腫瘍など)が疑われる方を受付けています。
それ以外の多くの遺伝病の遺伝学的検査、および遺伝に関するご相談である遺伝カウンセリングを受付けています。遺伝学的検査の依頼は私のメールアドレス(nakayama.tomohiro@nihon-u.ac.jp)、遺伝カウンセリングご希望の方は、当院医療連携センターで予約を受け付けております。ご利用くださいませ。
臨床検査部長
中山智祥