臨床検査医学分野教授,臨床検査医学科部長,臨床検査部長 中山智祥のコラム<第1回>
臨床検査部
くれぐれも遺伝子検査とは言わないように!
最近,マスメディアで遺伝子についての話題を聞かない日はないくらいです。ヒトDNAの配列変化が原因となる遺伝病を診断するための検査のほかに,微量な微生物の存在を証明するために微生物のDNAやRNAを増幅し検出する検査もあります。これらは多くの場合「遺伝子診断」や「遺伝子検査」と呼ばれていますが,正しいのでしょうか?
検査という観点から,はっきりと3つに分類されています。遺伝病を診断するための検査はヒト遺伝学的検査といいます。これは親から子へ遺伝する生殖細胞系列(germline, ジャームライン)の遺伝子変化がもとになっています。次にヒト細胞の遺伝子変化でありますが遺伝しないとされているものに多くの癌があり,ヒト体細胞(somatic cell)遺伝子検査といいます。最後に感染症を起こす微生物の遺伝子を検出するものを病原体遺伝子検査(病原体核酸検査)といいます。これら3つを総称して遺伝子関連検査といいます。この中でヒト遺伝学的検査については文書による同意が必要です。親子鑑定などの法医学的検査は一般の医療では行わないため遺伝子関連検査の対象外とされています。
臨床検査医学科では,あらゆるニーズに即した遺伝相談(遺伝カウンセリング)を受け付け,必要に応じてヒト遺伝学的検査を行っております。希望されます方は,当院医療連携センターで予約を受け付けております。
お問い合わせは,病院1F医事課(医療連携センター:内線3184)にご連絡ください。
臨床検査部長
中山智祥