帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹後神経痛(PHN)は帯状疱疹の合併症であり、水痘・帯状疱疹ウィルス帯状疱疹後神経痛による神経障害を原因とする痛みです。帯状疱疹を発症した患者のうち、発症直後に中等度以上の痛みがある患者の割合は65%ですが、その割合は経過とともに徐々に低下して、90日経過した時点でも中等度以上の痛みが残る患者さんの割合は9.2%です。発症から 6 カ月経過すると、痛みが自然軽快する可能性は低くなります。PHNに明確な定義はありませんが、「帯状疱疹発症後 90 日以上経過しても続くVAS#値 40 mm 以上の強い痛み」と定義されることがおおいです。PHN となるリスクファクターとして、高齢、皮疹の重症度、皮疹発現時の強い痛み、皮疹に先行する痛み、慢性疾患を有することが知られており、免疫抑制状態、上肢の帯状疱疹をリスクファクターに挙げる報告もあります。PHNの痛みの性質は、持続痛、発作性の電撃痛が中心で、触っただけでも痛いといったような異常感覚もしばしば認められます。 PHNに特異的な治療はなく、症状の緩和が主体となります。痛みの緩和は、薬物療法が主体で、神経ブロックは補助的治療法となることが多いです。治療が長引くこともあり、高齢者が多いことから、リスクとべネフィットを考えた上で治療を行っていきます。
#Visual Analogue Scale(VAS)
長さ10cmの黒い線(左端が「痛みなし」、右端が「想像できる最大の痛み」)を患者さんに見せて、現在の痛みがどの程度かを指し示してもらい、痛みの程度をしる方法です。