難治性術後痛
手術では、体を傷つけることにより、神経組織が損傷することや、損傷部位で炎症反応が起こります。その痛みは「術後痛」と言われるもので、急性痛の1つです。急性痛は、その原因と痛みの関係がはっきり特定され、その原因が除去されることによって痛みはなくなります。
術後痛の場合、手術から時間が経って、炎症が治まり、損傷した組織が修復されれば痛みは軽くなっていき、通常、手術直後が最も痛く、安静時の痛みは1-5日程度で軽減していきます。
難治性術後痛は術後少なくとも3ヶ月持続する痛みとされており、危険因子としては、若年、女性、肥満、社会・文化的背景、遺伝子素因などの患者特有なものから、手術としては開胸手術、胸骨正中切開を伴う心臓手術、人工関節置換術、四肢切断術、乳房手術、メッシュを用いた鼠径ヘルニア根治術、帝王切開などがあげられています。
難治性術後痛は日常生活に支援をきたすことも多く、治療としては薬物療法、神経ブロック、精神・心理的アプローチなどが用いられ、最初の目標とした日常生活の質の向上を目指します。