下眼瞼内反症
下眼瞼内反症とは,下まぶた(下眼瞼)が内側に向かって反り返り,まつげや皮膚が黒目(角膜)や白目(結膜)に接触してしまう状態です。
これにより目の痛みや異物感,流涙(涙が出る),充血などの症状を引き起こします。
症状の程度,角膜や結膜の障害の有無,内反の原因を確認し,必要に応じて眼科と連携し,治療を行います。
症状
目のゴロゴロ感,異物感
涙が止まらない(流涙)
目の充血,痛み
視力の低下(重度の場合)
結膜炎や角膜炎の繰り返し
主な原因
下眼瞼内反症にはいくつかのタイプがあり,それぞれ原因が異なります。
・加齢性内反症(老人性内反症)
加齢により眼輪筋がゆるみ,下まぶたが内側に巻き込まれることで発症します。高齢者に多く見られます。
・先天性内反症
生まれつきまぶたの構造に異常があり,乳幼児の時期に症状が現れます。多くは成長とともに自然に改善しますが,角膜障害がある場合は治療が必要です。
・瘢痕性内反症
外傷や手術,感染などによりまぶたに瘢痕(きずあと)ができて皮膚が引き込まれるタイプです。
治療法
症状が軽い場合は点眼薬で一時的に症状を和らげることも可能ですが,根本的な治療は手術です。
当科では,状態に応じて以下のような手術を行っています。
下眼瞼牽引術(Lateral Tarsal Strip法):加齢性内反症に対して,目尻に小皮膚切開を加えてゆるんだまぶたを外方に牽引することで引き締めて正常な位置に戻します。
皮膚切除術・眼輪筋短縮術:Hotz変法と呼ばれ,まぶたの余分な皮膚や筋肉を整えることで内反を矯正します。また,必要に応じて皮膚の内側を瞼板に縫合することでまぶたが外反するように矯正 (Hotz変法)を行います。
瘢痕解除術:瘢痕が原因の場合,瘢痕を除去して粘膜移植などを行うこともあります。
通常は30~60分程度の局所麻酔手術です。
機能的な障害を改善する治療ですので健康保険の適用になります。
再発することがありますので術後の定期的な経過観察が必要です。