食道胃接合部がん しょくどういせつごうぶがん

食道と胃の境界部分にできる癌のことを食道胃接合部がんと呼びます。以前は食道がんや胃がんの一部として扱われてきましたが、近年では食道胃接合部がんという独立した疾患として扱われるようになっています。

1)特徴

「食道胃接合部の上下2㎝以内(=食道胃接合部領域)にがんの中心が存在するもの」と定義されます。食道胃接合部領域にある中心から、食道や胃にどれくらい広がるかによってリンパ節転移のパターンが大きく変わることが最近の研究で分かってきました。

食道は胸の中に、胃はお腹の中に位置しています。食道に大きく広がるような病変では胸のリンパ節に転移しやすく、胃に大きく広がるような病変ではお腹のリンパ節に転移しやすくなると言われています。そのため、手術の場合には病変の広がり方によって切除する範囲が大きく変わってきます。

食道胃接合部がんが起きる原因については、胃酸が食道に逆流することによって起きる「逆流性食道炎」が示唆されています。

2)症状

最も多いのは嚥下困難(飲みくだしのつかえ感)や逆流症状(胸やけ)です。

そのほか、嚥下時痛、嚥下時不快感、食欲不振、体重減少などです。

3)診断

内視鏡検査

電子ファイバ-スコ-プを用いており、ヨード色素法やNBI法による微細血管の観察により悪性、深達度診断が行われます。

 

バリウム造影

病変の位置や食道や胃への広がりを診断するために行われます。

CT.PET-CT

臓器転移やリンパ節転移の有無、治療効果の判定のため行われます。

4)ステージ分類 TNM (0〜4の5段階)

  • T:深達度因子(癌浸潤の深さ)
  • N:リンパ節因子(リンパ節転移)
  • M:転移因子(他臓器転移)

以上の3つの項目を基に、ステージ(=進行度)を決めます。

5)治療

  • 粘膜癌の場合
    深達度がm(粘膜癌)のものに対しては消化器内科で内視鏡的粘膜切除(Endoscopic Mucosal Resection)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われています。
  • 手術
    病変の広がり方やリンパ節転移の状況によって、食道の切除(食道亜全摘)や胃の切除(噴門側胃切除、胃全摘)を行います。どのような手術が最適かについては患者さんごとに異なりますが、いずれの手術においても経験豊富な医師が担当させていただきます。また、胸腔鏡や腹腔鏡を使った手術を積極的に行い手術後の回復が早くなるようにしています。
  • 集学的治療
    放射線治療、化学療法(抗がん剤)、手術治療を組み合わせた治療のことです。

 

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