円形脱毛症
1)特徴
- 原因は不明ですが,毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられています。遺伝的要因を背景として,疲労や感染症など肉体的,精神的ストレスが発症の誘因になるとされていますが,実際には明らかな誘因がなく発症することも多いです。
- 全年齢層に出現します。
- 男女差はありません。
- 橋本病などの甲状腺疾患,尋常性白斑,アトピー性皮膚炎,全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,、Ⅰ型糖尿病,重症筋無力症などが合併することが知られています。
- 自覚症状は通常ありませんが,脱毛前に軽い痒みや違和感,赤みがみられることがあります。
2)症状
類円形に脱毛を生じます。脱毛症状の経過は様々ですが,脱毛している部分は拡大,融合,縮小,再発を繰り返し,慢性に経過します。活動性に脱毛が起こっている時期では,毛髪を軽く引っ張るだけでも毛が抜けます(牽引試験陽性)。爪甲に小さな点状陥凹を生じることがあります。
3)診断
症状が典型的であれはほとんどの場合は視診で診断が可能です。他疾患と区別がつきにくい場合は皮膚生検を行います。
- 皮膚生検
病変部皮膚を一部採取し,顕微鏡レベルの観察により診断を行います。
4)重症度の評価
- 頭部全体の面積に占める脱毛面積の割合,頭部以外の脱毛の程度により重症度を決定します。
- 図のように頭頂部,側頭部,後頭部の脱毛の範囲を病変面積で評価し,25%以上の脱毛を重症と診断します。
Olsen E.A et al:Am Acad Dermatol, 75:1268, 2016 より引用
5)治療
- 副腎皮質ステロイドの外用や局所注射
- 光線療法(ナローバンドUVBやエキシマライト)
- セファランチン内服
- 局所免疫療法(軽いかぶれを起こす治療)
- 凍結凝固療法
- ステロイド内服療法
- ステロイドパルス療法