蕁麻疹
1)特徴
- 原因は様々なものがあります。。寒さ,日光,汗などが原因になることもあります。しかし,原因不明なことが最も多いです。
- 年齢分布では20代から40代の女性に多い。
- 性別は1:2で女性に多い。
- 全身に発生します。
- ひどい時は呼吸困難を伴うこともあります。
2)症状
全身に痒みを伴う膨疹(皮膚が赤く隆起した状態)が多発します。基本的には24時間以内に跡形もなく消えますが,中には長期間残るものもあります。汗による蕁麻疹ではピリピリとした痛みを伴うこともあります。
3)診断
- 24時間以内に皮疹が跡形もなく消えれば蕁麻疹と診断ができます。しかしながら蕁麻疹の治療は病型が重要となります。病型はどのような原因によって蕁麻疹が引き起こされるかにより決まります。病型分類は血液検査などではでき ず,詳細な問診と誘発試験にて行います。
- 誘発試験
- 温度誘発
TempTest®(写真)という機械を用いて4℃~44℃の刺激を与えることができます。寒冷蕁麻疹,温熱蕁麻疹の診断をすることができます。
- 運動誘発
踏み台昇降運動などで汗をかいてもらい蕁麻疹ができるかを確かめます。汗が出にくい症状がある場合は発汗テストを行うこともできます。
- プリックテスト
問診によりアレルギーが疑われる場合はアレルギーを起こす物質(アレルゲン)を使って検査します。前腕にアレルゲンを溶かした溶液を一滴たらしてその上から針で刺します。陽性なら刺した部分が赤く盛り上がりかゆくなります。
- 光線刺激テスト
日光による蕁麻疹が疑われる場合はスライドプロジェクターや紫外線照射器により光線刺激を行います。
4)重症度の評価
- UAS7 (Urticaria Activity Score 7)
24時間の痒みのスコアを3点満点(0-3),膨疹の数を3点満点(0: 膨疹なし,1: 20個以下,2: 20~50個,3: 50個以上)で評価し1日のスコア(6点満点)とします。それを7日間合計したものがUAS7となります。28点以上を重症,16点から27点を中等症,7点から15点を軽症,6点以下をコントロール良好と定義しています。慢性特発性蕁麻疹のみに使用するスコアです。
- UCT (urticaria control test)
4つの質問のみで行う簡便なテストです。16点満点で12点以上だとコントロール良好といえます。6週間以上続くどのタイプの蕁麻疹にも使用できます。
5)治療
- 内服療法(飲み薬)
抗ヒスタミン薬が基本となります。多くの薬剤は通常量の倍量まで使えます。
- 生物学的製剤(注射の治療)
内服薬でコントロールがつかない場合は抗IgE抗体を使用します。高価な薬剤ですので,生活の質などを考慮して使用します。