化膿性汗腺炎
1)特徴
- 日本では男女比は2:1と男性に多く,30代前後の発症が多いです。
- アポクリン腺部(外陰部,肛囲,乳房など)に生じますが,日本では臀部に生じることが多いです。
- 基礎疾患として糖尿病があると重症化しやすいです。
2)症状
痛みと発赤を伴う病変が腋窩や鼠径部,臀部などアポクリン汗腺の多い部位に繰り返し発生し,臨床症状として結節,瘻孔,瘢痕がみられます。半年の間に数ヵ月は炎症のある時期があるのが通常です。
3)診断
症状が典型的であれは視診で診断が可能なことも多いですが,他疾患と区別がつきにくい場合は皮膚生検を行います。
- 皮膚生検
病変部皮膚を一部採取し,顕微鏡レベルの観察により診断を行います。
4)重症度の評価
- PGA (Physician’s global assessment for HS: PGA)
炎症のない結節の有無,炎症のある結節の数,膿瘍・瘻孔の数で重症度を評価する方法。
- Hurley病期分類
Ⅰ(軽症):孤立した膿瘍,Ⅱ(中等症):1つの病巣で瘢痕ができ,瘻孔が形成される。Ⅲ(重症):瘢痕と瘻孔からなる病巣が複数癒合し,炎症と慢性的な排膿をともなう。
- IHS4 (International hidradenitis suppurativa 4)
結節,膿瘍,瘻孔・瘻管の数で評価される重症度スコア。3点以下で軽症,4-10点で中等度,11以上で重症。
5)治療
- 外用療法(塗り薬)
抗菌薬の外用
- 内服療法(飲み薬)
抗菌薬 - 手術
病変部を切除し,その後単純縫縮,植皮,皮弁形成を行う。
- 生物学的製剤(注射の治療)
抗TNF-α抗体(アダリムマブ)