慢性膵炎
慢性膵炎とは
何らかの原因により膵臓に持続的な炎症が起こることで膵臓の外分泌機能・内分泌機能が低下してしまう病気です。40〜50代で発症することが多く,女性より男性に多い病気です。原因の約70%は飲酒であると言われております。その他,胆石や膵管形態の異常,稀に遺伝などが原因となることがありますが,飲酒以外で最も多いのは,特発性という原因のはっきりしないものです。多くは一度発症してしまうと基本的に治ることはなく,継続して症状に対応した治療が必要となります。
症状
発症して5〜10年の間は発作的な腹痛や背部痛,腹部膨満感などを繰り返します。その後,腹痛などの疼痛は軽減してきますが,外分泌機能・内分泌機能の低下により糖尿病を発症したり,脂肪便などの消化吸収障害をきたしたりします。また経過中に膵石が出現することが多く,膵石が膵管に詰まると疼痛を伴います。
診断
反復する腹痛などの臨床症状,血液検査や尿検査による膵酵素異常,M R IやC T,エコーなどの画像検査などにより総合的に診断します。糖尿病や外分泌機能の検査を行うこともあります。
治療
最も重要なのは禁酒,禁煙です。また,食事療法を行ったり,膵外分泌機能を補う薬剤や,膵酵素の活性化を阻害する蛋白分解酵素阻害薬を使用したりします。その他,症状に対応した薬物治療を行ないます。膵石による症状がある場合は,衝撃波や内視鏡などで膵石に対する治療を行います。
当科ならではの慢性膵炎診療
近年,超音波内視鏡により早期の慢性膵炎が診断できることが注目されています。当科では超音波内視鏡を積極的に行い,また,膵外分泌機能検査を合わせることで,早期の慢性膵炎を診断し,早期の治療介入を行うことに取り組んでいます。