小児慢性骨髄性白血病 しょうにまんせいこつずいせいはっけつびょう

慢性骨髄性白血病は「血液のがん=白血病」の1つで,細菌,ウイルス,真菌(カビ)などから身を守るために働く白血球が骨髄の中で過剰に増える病気です。血液の細胞のもとである造血幹細胞に,フィラデルフィア染色体という異常な染色体が形成されることが主な原因です。治療せず何年か経過すると,未熟で機能を持たない白血病細胞(芽球)が過剰に増殖する移行期や急性転化期(急性白血病)に進行します。

特徴

  • 小児の全白血病の中で2-3%を占める比較的まれな疾患です。
  • 多くは思春期以降に発症しますが,2-6歳の幼児期にも発症することがあります。
  • 年長児は男児に多いです。
  • 病期は慢性期,移行期,急性転化期と3つあり,85%の患者さんが病初期の慢性期に見つかります。

症状

病初期の慢性期では症状に乏しく,成人では検診で偶然病気が発見されるケースがあります。

小児では早期発見が難しく,発熱や倦怠感,脾臓の増大による腹部膨満・腹痛などの症状をきっかけに診断されることが多いです。白血球の過剰な増加によって微小な血管が詰まり,視力障害や持続勃起症を発症することもあります。

診断

血液検査

白血球の中の顆粒球という成分が著しく増加します。また好酸球や好塩基球の増加もしばしば伴います。出血した時に血を固める成分である血小板も30-50%の患者さんで増加します。

骨髄検査

血液の細胞が作られる骨髄に針を刺して骨髄液を採取する検査です。骨髄では各成長段階の未熟な白血球が多数見られます。病初期では白血病細胞(芽球)は殆ど見られませんが,進行すると白血病細胞(芽球)の割合が増えていきます。骨髄の細胞から染色体検査でフィラデルフィア染色体,遺伝子検査でBCR-ABL遺伝子という本疾患に特徴的な異常が検出されることで診断が確定します。

病期判定基準

慢性期 移行期 急性転化期
移行期,急性転化期以外のもの

以下の項目のいずれかに該当するもの

  • 血液検査もしくは骨髄検査で芽球が15-29%
  • 血液検査もしくは骨髄検査で芽球と前骨髄球が計30%以上(芽球が30%未満)
  • 血液検査で好塩基球が20%以上
  • 治療に関係しない血小板減少(10万/μL未満)
髄外腫瘤(肝脾腫やリンパ節腫脹を除く)の出現,もしくは血液検査と骨髄検査のいずれかで芽球が30%以上

治療

初期治療は小児と成人で大きな違いはなく,主な治療はチロシンキナーゼ阻害薬です。

分子標的薬:チロシンキナーゼ阻害薬

2000年頃からイマチニブ(商品名:グリベック)をはじめとするチロシンキナーゼ阻害薬が使われるようになり,慢性骨髄性白血病の予後は劇的に改善しました。チロシンキナーゼ阻害薬は分子標的薬の1つで,慢性骨髄性白血病の原因であるBCR-ABL遺伝子の異常な働きをピンポイントで抑えることによって,白血球の異常増殖を抑える治療薬です。治療反応が良いと,フィラデルフィア染色体を持つ造血幹細胞が殆ど消失し,正常な造血機能に戻ることができます。現在,チロシンキナーゼ阻害薬はイマチニブだけでなく,ニロチニブ(商品名:タシグナ),ダサチニブ(商品名:スプリセル),ポナチニブ(商品名:アイクルシグ)などがあります。ニロチニブ,ダサチニブの薬の効果はグリベックを1とすると20倍,325倍と高く,ポナチニブは上記の薬に耐性のある患者さんにも効果があります。これらの薬は患者さんの治療経過に応じて変更します。チロシンキナーゼ阻害薬は毎日服用する必要があり,怠薬すると患者さんの予後に影響します。近年は治療反応が良い症例を対象にチロシンキナーゼ阻害薬を中止する臨床研究も行われています。

造血幹細胞移植

通常よりも強力な化学療法や放射線照射(これを移植前処置といいます)を行い,骨髄中の異常な細胞を死滅させた後に,正常な造血幹細胞を移植して骨髄の造血機能を回復させる治療法です。チロシンキナーゼ阻害薬が開発される前までは根治的な治療として良く行われておりました。現在は,T315Iという予後不良な遺伝子異常を持つ患者さんや,診断時に急性転化期まで進行している患者さん,現存のチロシンキナーゼ阻害薬に治療反応が不良な患者さんを対象に造血幹細胞移植を行います。またチロシンキナーゼ阻害薬は下記のとおり,副作用がいくつかあります。

  • イマチニブ:皮疹,体液貯留,肝障害,筋痛・関節痛
  • ニロチニブ:心血管障害,膵酵素上昇,血糖値の上昇
  • ダサチニブ:胸水貯留,肺高血圧症,心嚢液貯留,消化管出血
  • ポナチニブ:心血管障害,膵酵素上昇,皮疹

小児は成人と比べて罹病期間が長く,チロシンキナーゼ阻害薬を長期で内服するためこれらの副作用を避けられません。そのため,適合ドナーが得られ,深い寛解が得られた場合にも造血幹細胞移植を行うことがあります。

予後

慢性期の慢性骨髄性白血病の予後は,本邦の小児(20歳未満)を対象とした報告で5年無増悪生存率は92%,5年生存率は95%と良好です。

参考文献

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