血友病と類縁疾患 けつゆうびょうとるいえんしっかん

出血が起こると,

①血管が収縮する

②血小板が集まり血小板血栓を作る(一次止血)

③12種類ある凝固因子が働いてフィブリン血栓を作る(二次止血)

という流れで止血が行われます。血友病は,このうち➂の「凝固因子」が先天性(生まれつき)に不足することで出血を繰り返す疾患です。血友病には2種類あり,第Ⅷ(8)因子が不足する血友病Aと,第Ⅸ(9)因子が不足する血友病Bがあります。

※小児で問題になるのは先天性であり,成人で発症する後天性血友病とは異なります。

特徴

原因は,凝固因子の第Ⅷ因子または第Ⅸ因子を作るのに必要な遺伝子に変異が起こることで,凝固因子が欠乏・低下することによります。

X連鎖劣性という遺伝形式をとるため,通常は男性に発症しますが,女性に発症することや,ご両親には異常がなく突然変異で発症する(約1/3)こともあります。発生頻度は,男子5,000~10,000人に1人です。

症状

血友病の出血は,関節内出血,筋肉内出血などの深部出血が特徴的です。

年齢によっても出血しやすい部位は異なり,新生児期に帽状腱膜下血腫や頭蓋内出血を認めて疑われる例や,一般的には乳児期後期のハイハイを始めると肘や膝に大小様々な紫斑を呈することで疑われます。歩行を開始する1歳以降では,関節内出血が徐々に出現し,特に膝・足・肘などに多く見られます。

関節内出血を繰り返すと,滑膜に炎症を起こして増殖し,さらに進行すると骨・軟骨の変形や破壊が起こり,関節が動かなくなってしまいます(血友病性関節症)。これらを予防するために,治療が必要になるのです。

診断

凝固因子が正常に働いているかを反映する「活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)」と「プロトロンビン時間(PT)」を測定し,APTTのみが延長している場合に,血友病を疑います。

血友病が疑われた場合,第Ⅷ因子,第Ⅸ因子がどの程度働いているか(活性)を確認し,正常の40%未満であれば血友病と診断します。

重症度

第Ⅷ因子,第Ⅸ因子の活性の程度により,以下のように血友病の重症度が分類されます。

治療

血友病の治療の基本は,不足している第Ⅷ因子または第Ⅸ因子を血液製剤の注射により補う補充療法です。血液製剤には,ヒトの血漿由来のもの,遺伝子組み換えにより作られたものがあり,後者では半減期を延長した(より長い時間作用する)製剤も使用されています。

定期補充療法

凝固因子活性を一定以上に保つことで出血頻度を減らし,血友病性関節症を防ぐ目的で行い,小児期から行うことの有用性が示されています。週に1~数回,定期的に製剤を補充します。注射の指導を行うことで,家庭でも行うことができます。

予備的補充療法

スポーツや旅行,外科的な処置が必要な際など,出血の可能性が高いイベントの前に,出血を防ぐ目的で補充を行います。

急性出血時の補充療法

補充療法が必要かを判断するため,主治医にすぐに連絡しましょう。出血の部位や程度,元々の重症度によって補充療法の目標が異なり,「インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン2013年改訂版」を元に凝固因子の補充を行います。

インヒビター陽性の血友病

補充療法を続けているうちにインヒビター(投与された凝固因子製剤の中の第Ⅷ因子あるいは第Ⅸ因子を異物とみなし,排除しようとする抗体)ができ,効き目が弱くなることがあります。そのような場合には,以下の治療方法を行います。

中和療法

製剤を大量投与することでインヒビターを中和し,残りの凝固因子で止血する。

バイパス止血療法

第Ⅷまたは第Ⅸ因子とは別のルートにバイパス(迂回)して止血を図る方法です。

免疫寛容導入療法

製剤を頻回に反復投与することで,免疫反応を低下させていく方法です。

von Wiilebrand病(フォン・ヴィレブランド病:vWD)

von Willebrand因子(vWF)は,出血が起こった際に,破れた血管壁に露出されたコラーゲンと血小板を結び付ける役割をし,一次止血に重要な働きをするタンパク質です。von Willebrand病は,12番染色体上にあるvWF遺伝子の異常によってvWFの量が少ないか,もしくは働きの異常が起こり出血傾向を示す疾患です。また,vWFは凝固因子の第Ⅷ因子に結合して安定化する役割も担っているため,vWFの不足により二次的に第Ⅷ因子活性も低下します。vWDは血友病の次に多い出血性疾患で,軽症も含めると人口の1%程度とも報告されています。

症状

皮下出血や鼻腔・口腔内出血などの粘膜出血が特徴です。女性では月経過多もみられます。

診断

vWF抗原量,vWF活性を示すリストセチンコファクター活性を測定し,30%未満の場合にvWDと診断します。第Ⅷ因子活性,vWFマルチマー解析,リストセチン惹起血小板凝集検査,FⅧ/vWF結合試験などの検査も行い,病型診断を行います。

病型と治療

デスモプレシン(DDAVP)

血管内皮細胞に貯蔵されているvWFの放出を促します。そのため,vWFが貯蔵されていること,機能することが使用の前提となり,病型により有効性には差があります。

vWF補充療法

確実な止血が必要な場合や,DDAVPが無効な患者さんには,vWFを含む血液凝固第Ⅷ(8)因子製剤の投与を行います。

血友病類縁疾患

血友病類縁疾患は,(血友病とvWDを除く)フィブリノゲン,プロトロンビン,第Ⅴ,第Ⅶ,第Ⅹ,第Ⅺ,第ⅩⅢ因子の先天性欠乏症の総称です。50~200万人に1人と極めてまれな疾患です。

PTまたはAPTTによりスクリーニングを行い,各凝固因子の活性低下により診断を行います。

凝固因子製剤の補充(フィブリノゲン,プロトロンビン,第Ⅶ,第ⅩⅢ)もしくは新鮮凍結血漿(FFP)の投与を行います。

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