低身長症 ていしんちょうしょう

定義

現在の身長が-2SD(2.3パーセントタイル)未満の人を低身長症とする。

※2.3パーセントタイルとは同じ年齢(●歳●か月)の人が1000人いたら身長が23番目(1000×0.023)の人を指す。つまり40~50人に1人の頻度で低身長の児がいる。

また,成長曲線の上に過去の身長の記録をプロットして,標準との差が広がっているようなら成長率が低下していると考える。つまり,現在の身長の評価だけではなく,成長率という時間的な考慮も低身長には必要となる。

原因

内分泌疾患

成長ホルモン分泌不全症 甲状腺機能低下症 Cushing症候群 思春期早発症 

染色体の異常

Turner症候群など

骨軟骨の異常

軟骨無形成症 軟骨低形成症

奇形症候群

Prader-Willi症候群 Noonan症候群 Silver-Russell症候群など

低出生体重に関連したもの

SGA性低身長症

心理社会的原因

低栄養(拒食症など)

慢性疾患・栄養障害・薬剤性

腎不全 先天性心疾患 Crohn病 栄養障害 PSL内服歴が長い患者

体質的なもの

体質性低身長 体質性思春期遅発症

この中で最も多いのが家族性低身長を含めた特発性低身長である。両親のいずれかの身長が-1.5SD未満の時に児も小さくなることが多い。

診断に必要な検査

疾患によりさまざまであるが低身長症の原因鑑別のため,血液検査や骨のレントゲンを撮影し鑑別する。また染色体や遺伝子異常による低身長症の場合は,身体的な特徴を認めた時に染色体や遺伝子検査を行うことにより診断を確定する。

低身長症を招く代表的な疾患

成長ホルモン分泌不全性低身長症

頻度

低身長症の原因の10%程度 

原因

90%以上が特発性(器質的原因のないもの),5~10%が器質性(頭蓋咽頭腫 胚細胞腫 下垂体腫瘍など)。頻度は低いが遺伝子異常が原因となるものもある。

病歴

器質性では新生児期の低血糖 新生児黄疸 新生児仮死 放射線の頭蓋内照射 頭部外傷や中枢神経感染症の既往のあるものが多い。また脳腫瘍では頭痛や視野障害がでる場合もある。

診断

  • 身長が-2SD以下または正常範囲内であっても成長速度が2年以上にわたり標準値の-1.5SD以下であり,2つ以上の分泌刺激試験で成長ホルモン分泌不全がある場合。
  • 乳幼児でGHD考えられる症状(低血糖など)がある場合や,頭蓋内器質性疾患や他の下垂体ホルモン分泌不全がある場合は1種の分泌刺激試験で診断可。

治療

成長ホルモンを週6日または毎日皮下注射で投与する。 

SGA(small for gestational age)性低身長症

頻度

低身長の原因の20%を占める

原因

  • 胎児因子(染色体異常 遺伝性疾患 先天異常・先天性心疾患)
  • 母体因子(基礎疾患(膠原病 腎臓病)感染症(TORCH) 母体の低栄養)
  • 子宮胎盤因子(単一臍帯動脈 子宮胎盤血流減少 前置胎盤 低置胎盤)
  • 疫学的因子:母体年齢 母体身長

病態

SGAとは在胎週数に比較し身長体重が小さい児を意味する。SGAで生まれた児のうち90%以上は正常身長の範囲内に到達するが,残りの10%は低身長のままとなってしまう。また思春期が相対的に早く発来する傾向や糖尿病になりやすい傾向があり,早期発見と早期治療が大事となる。

診断

SGAの定義と治療開始の定義が違うことに注意する必要がある。

出生時および体重がともに在胎週数相当の10%タイル未満で,そのうち歴年齢までに-2SD以上に身長が伸びなかった場合をSGA性低身長とよぶ。

そのなかで,出生時および体重がどちらかが在胎週数相当の-2SD未満であり,現在の身長が同性 同年齢の-2.5SD未満で かつ開始前1年の成長速度が±0SD未満の場合に治療可能となる。

治療

成長ホルモンを週6日または毎日皮下注射で投与する。

思春期遅発症

定義

通常に比較し,2-3年程度思春期発来が遅れるときに診断される。定義は以下の通り。

男児の場合 

  • 14歳以上で外性器が小児様で,睾丸,陰嚢,陰茎の発育が認められない
  • 15歳以上で陰毛発生がない
  • 16歳以上でヒゲ,変声,腋毛の発現をみない

女児の場合

  • 11歳以上で乳房発育開始がない
  • 13歳以上で陰毛発生がない
  • 14歳以上で初潮をみない

原因

  • 体質性(家族歴が濃厚であることが多い)
  • TurnerやKlinfelter症候群を含む染色体異常 
  • 脳の器質的異常 
  • 甲状腺機能低下症 
  • 性腺機能異常

問題点

周囲の児が通常に思春期が来る時期に思春期が来ないため,周りから身長が離されていくことが多い。体質性が多いがTurner症候群やKlinfelter症候群などが隠れている場合もある。

検査

骨のレントゲンにより骨年齢を測定し,骨年齢が実際の年齢と比較し遅れていることや,負荷試験をすることで診断することが可能となる。

治療

体質性の場合経過観察となるが,それ以外が原因の場合は各疾患に準じた治療を行う。

Turner症候群

定義

低身長,翼状頸,外反肘などの身体的特徴を有し,二次性徴欠失などの卵巣機能不全を呈する先天性の疾患で性染色体(X染色体)異常による女性特有の疾患。

発生頻度

出生女児の1600~2000人に1人。

症状

先天性心疾患(左心系の心疾患),外反肘,翼状頸,リンパ浮腫,糖尿病,繰り返す中耳炎などを特徴とする。

治療

幼少期から成長ホルモン投与を行い,12歳になったら女性ホルモンの投与を開始し,最終的に生理を起こさせる必要がある。

Noonan症候群

概要

特徴的顔貌と低身長 心奇形により特徴づけられる常染色体優性遺伝形式の先天奇形症候群。

症状

両眼瞼開離や眼瞼下垂,内眼角贅皮 鼻根部平坦 耳介低位などの特徴的顔貌,翼状頸,外反肘 低身長 停留精巣。

治療

低身長に対して,-2.0SDを下回った場合成長ホルモンの適応となる。

その他の成長ホルモン適応疾患

  • プラダ―ウィリー症候群
  • 軟骨異栄養症候群
  • 腎機能低下による低身長
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