B型肝炎
病因
B型肝炎ウイルスによる感染症です。感染経路は
- 母子感染
- 家族内・集団内感染
- 輸血による感染
- 性行為による感染
- 医療機関内感染
の5つに区別されます。
症状
発熱、腹痛、褐色尿などがみられます。しかし小児は成人に比べて軽症で、新生児・乳児期では無症状のことが多いとされています。劇症肝炎になるケースはまれですが、一旦発症すると死亡率が高いことで知られています。成人でのB型肝炎ウイルス初感染は急性肝炎がほとんどであり、持続感染することは少ないとされていますが、周産期・乳幼児期に感染すると90%以上が持続感染します。ウイルスそのものに細胞障害性はなく、持続感染はウイルスと宿主免疫機構とのバランスの中で成立している。持続感染の自然経過は、①免疫寛容期、②ウイルス排除期、③無症候性キャリア期、④再燃期、⑤回復期に分けられます。小児では成人になるまでに上記の①→②→③の経過を経て約75%がセロコンバージョンを起こすとされています。再燃期はセロコンバージョンの後、20~30%の症例で、自然経過もしくは免疫抑制剤使用などが誘因となって、ウイルスが再増殖し肝炎が再燃します。この状態にあると、肝硬変、肝細胞癌進展のハイリスクであると考えられています。
検査
血液検査を施行し抗原・抗体の有無を確認します。
治療
急性肝炎はほとんどが自然治癒するので特異的な治療の必要はありません。そのため劇症化の徴候に注意しながら、対症療法を行います。
キャリアに肝機能障害が出現した場合、小児では3年以内に約50%がセロコンバージョンに至ることから、基本的に3年間は経過観察をするとされています。3年以上肝機能障害が持続する例、肝炎発症3年以内であっても、強い肝炎が持続する例、繊維化の進行が疑われる例では肝生検を行い、治療適応を判定します。現在有効な治療法として経口抗ウイルス薬があります。
予防方法として2種類あげられます。
母子感染の予防
HBs抗原陽性妊婦からの出生児に対し、出生24時間以内にB型肝炎用の免疫グロブリン製剤とB型肝炎ワクチン接種を、生後1ヵ月、6か月にB型肝炎ワクチン接種を行います。
生後9ヵ月~12ヵ月を目安にHBs抗原とHBs抗体検査を実施します。
Universal vaccination
母親がキャリアでない場合は1歳になる前にB型肝炎ワクチンを3回接種します。スケジュールは生後2ヵ月から4週間隔で2回、さらに1回目の接種から20週以上経過してから1回の計3回接種することが推奨されています。