胆道がん(肝外胆管がん・胆のうがん・乳頭部がん)
胆道とは,胆汁の通り道のことです。
胆汁は脂肪の消化を助ける消化液です。肝臓で作られ、胆嚢に貯められ、十二指腸乳頭部で消化管内に入ります。
胆道癌とは胆道に発生した悪性腫瘍です。
胆道は、その部位により
- 肝内胆管
- 肝外胆管
- 肝門部領域胆管
- 遠位胆管
- 胆嚢
- 乳頭部:十二指腸に開口する部位
に分類します。
胆道に発生したがんを胆道がんといいます。
肝内胆管に発生した肝内胆管癌は原発性肝癌に分類されます。
胆道がんは発生した場所により
- 予後
- 手術の術式
が異なります。
ここでは肝外胆管(肝門部領域・遠位胆管)・胆嚢・乳頭部のがんについて説明します(肝内胆管がんは原発性肝癌で説明します)
特徴
- 先天的な病気である膵胆管合流異常症や印刷に使用される化学物質が胆管癌を発生に関与すると言われていますが、多くは原因不明です。
- 胆道癌は60代以降の高齢者に多く、胆管癌と乳頭部がんは男性に、胆嚢がんは女性に多く見られます。
症状
初期では特に症状がないことが多いです。癌の部位により初発症状が異なります。腫瘍が増大し、胆道が狭窄・閉塞すると、黄疸になります。眼球結膜(白目)が黄色くなる・褐色尿・皮膚の黄染などが見られます。健康診断等で肝機能障害を指摘され発見されることもあります。
- 胆管癌の症状:黄疸、体重減少、腹痛など
- 胆嚢癌の症状:右上腹部痛、黄疸、悪心嘔吐など
- 乳頭部癌:黄疸、発熱、腹痛など
診断
胆道癌が疑われた場合、速やかに精密検査を行います。
- 血液検査
- 腹部超音波検査
- 腹部CT検査
- 腹部MRI・MRCP検査
また、消化器内科と連携、下記の検査を行います。
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP: endoscopic retrograde cholangiopancreatography)
- 超音波内視鏡
- 内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(ERBD:endoscopic retrograde biliary drainage)
- 経皮経肝胆道ドレナージ
上記検査により、胆道癌の正確な部位・進展範囲を診断し、適切な治療を行います。
ERCP画像
肝門部胆管(矢印)の狭窄と上流の胆管の拡張を認める
CT画像
肝門部の胆管壁の肥厚と濃染(矢印)・肝内胆管の拡張を認める
MRCP画像
肝門部胆管壁の閉塞(矢印)・肝内胆管の拡張を認める
治療
胆道癌に対してもっとも有効な治療は手術により癌を取り除くこと(摘出)です。患者さんの全身状態・癌の進行により、癌を摘出しないほうがよいと判断された場合、化学療法(抗がん剤)を行います。
胆道癌の手術
胆道癌の手術は、癌の部位によって異なります。
〇肝外胆管癌
肝門部領域胆管癌:拡大肝切除術
肝臓の半分(左右いずれか)・胆嚢・肝外胆管を切除します。
遠位胆管癌:膵頭十二指腸切除
遠位胆管・胆嚢・膵頭部・十二指腸を切除します。
その他
癌の進展によっては、拡大肝切除+膵頭十二指腸切除を行う場合もあります。
〇胆嚢がん
原則、肝切除を行います。癌の進行度により切除範囲が変わります。また、胆管や膵臓を合併切除する場合もあります。
胆嚢摘出術
肝切除
肝床切除(胆嚢と胆嚢周囲の肝臓を切除)から拡大右肝切除
胆管切除
〇乳頭部癌:膵頭十二指腸切除
遠位胆管・胆嚢・膵頭部・十二指腸を切除します。
遠位胆管癌に対し、膵頭十二指腸切除術を施行後
肝門部胆管癌に対し、拡大右肝切除術を施行後
胆道癌の化学療法
- ゲムシタビン
- シスプラチン
- TS-1
- デュルバルマブ
有効な薬剤は上記4つです。これらの抗癌剤を組み合わせて行います。