十二指腸がん・小腸がん
小腸は胃の出口から大腸までの間の内臓で、十二指腸、空腸・回腸に分けられます。十二指腸は胃の出口から十二指腸空腸曲までの20〜30cmの長さの部位でそこから空腸となり回腸を経て大腸に至ります。十二指腸も空腸・回腸も悪性腫瘍の発生はほかの内臓に比べてまれです。十二指腸の悪性腫瘍には腺癌と神経内分泌腫瘍があり、空腸・回腸の悪性腫瘍には腺癌とGISTが多いです。*以下は腺癌の説明になります。
特徴
- 原因は不明です。発生頻度が少ないためはっきりしませんが、危険因子として遺伝性疾患(家族性大腸腺腫症、Peutz-Jegher症候群、リンチ症候群)や自己免疫性疾患が言われています。予防因子は明らかになっていません。
- 年齢分布では50〜60歳代に最も多いと言われています。
- 十二指腸がんが一番多く小腸腺癌の30〜50%と言われています
- 胃カメラでも大腸カメラでも発見しにくい部分のため進行して症状が出現した後に検査を行い発見されることが多いです。
症状
腹痛、腹部膨満感、出血による貧血症状、黒色便、腸閉塞など
診断
内視鏡検査
十二指腸の前半は通常の胃カメラで観察できます。奥になると胃カメラでは観察できないので特殊な内視鏡を用いて病変を観察します。
バリウム造影
造影検査を行うことによりどの位置にあるかの把握ができます。
腫瘍の大きさは腸がどれくらい狭くなっているかなどの把握もできます
CT検査、PET-CT
臓器転移やリンパ節転移の有無を判断し進行度判定ができます。
ステージ分類 TNM (0〜4の5段階)
- T:深達度因子(癌浸潤の深さ)
- N:リンパ節因子(リンパ節転移)
- M:転移因子(他臓器転移)
治療
粘膜癌の場合
深達度がm(粘膜癌)のものに対しては消化器内科で内視鏡的粘膜切除(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われています。
手術
内視鏡的治療が困難な場合は手術治療が行われます。手術の方法についてはがんの部位によって大きく異なります。十二指腸の場合は膵頭十二指腸切除と呼ばれる、十二指腸と膵臓の一部を切除する手術や、早期の場合には局所切除(腫瘍の部分だけをくりぬくように切除する)があります。十二指腸以外の空腸・回腸に出来たがんの場合は、部分切除(がんのある部分だけ切除して、腸をつなぐ手術)が主に行われます。空腸・回腸の部分切除は、多くの場合腹腔鏡を使い小さな傷で手術を行います。
抗がん剤(化学療法)
FOLOFOX療法と呼ばれる、胃癌や大腸癌でよく使われる薬剤を使用します。また、MSIという遺伝子異常を有するタイプの癌ではペムブロリズマブ療法も行われます。