痔疾患
痔とは肛門の病気の総称です。
大きく分けて次の3つのタイプがあります。
痔核(いぼ痔)
概要
肛門の少し奥には細い血管が網目状に集まった柔らかいクッション状の部分があり、肛門を閉じるために大切な役割を果たしています。肛門に強い負担が掛かるとこのクッション部分が大きくなり、出血したり肛門の外へ脱出したりします。肛門では最も頻度の高い病気です。
症状
排便時に血が出る、違和感や便が残っている感じがする、肛門にいぼがある
原因
便秘や下痢、排便時のいきみ、長時間の同じ姿勢(運転、立ち仕事など)、冷え、妊娠・出産
診断
問診、視診、肛門指診、肛門鏡検査 など
治療
薬物療法、排便習慣や日常生活の見直しといった保存治療が基本です。保存治療で症状が良くならない場合には、注射による硬化療法や手術が必要となることがあります。
裂肛(きれ痔)
概要
硬い便の通過やひどい下痢によって肛門の皮膚に傷ができたものです。痛みのために排便を我慢してさらに便秘になるという悪循環で、傷が深い潰瘍となって治りにくくなります。慢性化すると肛門が狭くなることがあります。
症状
排便時や排便後に肛門が痛む、血が出る
原因
便秘や下痢
診断
問診、視診、肛門指診、肛門鏡検査、肛門内圧測定 など
治療
薬物療法や便通のコントロールといった保存治療を行います。保存治療で症状が良くならない場合には手術が必要となることがあります。
肛門周囲膿瘍、痔ろう(あな痔)
概要
肛門の奥に細菌が入り込み周囲に膿がたまったものが肛門周囲膿瘍です。膿が自然に破れたり病院で膿を出す処置を受けた後、膿のトンネルが残ったものが痔瘻です。男性に多くみられる病気です。
症状
熱が出る、肛門付近が腫れて痛む、下着に膿が付く など
原因
下痢、過労やストレスによる免疫力の低下
診断
問診、視診、肛門指診、肛門鏡検査、超音波検査、CT・MRI検査 など
治療
肛門周囲膿瘍では膿のたまっている部分を切開して膿を出します。そのまま治ることもありますが約半数のケースでは痔瘻となり、根治手術が必要となります。