胃がん
胃に発生する悪性腫瘍のほとんどが胃がんです。他には肉腫がありますが数%といわれています。それ以外として胃粘膜より深くに腫瘤が存在する胃粘膜腫瘍というものも存在しますが数は多くありません。
男性は1990年半ばまで、女性は2000年以降まで胃がんが日本国内のがん死亡原因の一位でした。2019年に入っても男性の死亡率2位、女性は4位とまだまだ多いがんとなっています。(国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」より)。*以下は胃がんについての説明となります。
特徴
- 飲酒、喫煙、多量の塩分摂取などが危険因子といわれています。 近年ヘリコバクターピロリ菌が胃がんの発生要因であることが 明らかになってきました。
- 1年で胃がんと診断される人数は2017年時点でも男性が2位、女性が4位であり日本人が多くかかるがんの一つです。(国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」より)
- 一生涯で胃がんに罹患する確率は男性が10%程度、女性は5%程度と言われています。今でも日本人の20人から10人に一人は胃がんになる危険があると言われています。(国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」より)
- 男女とも50歳代ぐらいから胃がんになる人が増え始め70歳代まで上昇を続けます。
- 胃の出口付近にできることが一番多く、胃の真ん中、胃の上部と続きます。
症状
早期は特に症状を訴えることはありません。進行して行くにつれて症状を訴える患者さんが多くなっていきます。早期がんでも潰瘍を伴っていることによって胃痛が出現し早期発見につながることもあります。進行による症状としては食欲不振、みぞおちの辺りの痛み、嘔気、嘔吐、体重の減少、貧血などがあります。
検査
胃がん検診
各地域の自治体や職場などで行われている検診です。ピロリ菌、ペプシノゲン検査を行うことや、バリウム検査、内視鏡検査なども行うこともあります。
内視鏡検査
胃のなかを直接観察し異常な部分があればつまんで顕微鏡検査を行うことができます。性能が向上しより小さな異常も発見できるようになってきています。小さい胃がんであれば内視鏡検査で削り取って治療が完結できることもあります。
バリウム造影
2次検診で行われることが多い検査です、バリウムを内服してレントゲン撮影を行い異常を発見する方法です。
超音波検査・CT検査・PET-CT検査
進行して肝臓などに転移を起こしていると超音波検査などで転移した部分が最初に発見されて、その後に胃がんと診断されることがあります。主に他の内臓への転移や胃の周りのリンパ節の状態など胃の外側の情報がわかります。大きいがんであれば胃自体の状態も判断できます。
進行度(ステージ分類)
早期がんから発見された段階で既に他の内臓まで転移を起こしている進行がんまであります。進行度は以下の3つの要素で決定します。
- T:深達度因子(癌浸潤の深さ)
- N:リンパ節因子(リンパ節転移)
- M:転移因子(他臓器転移)
治療
内視鏡治療
深達度が浅いと判断されたものに対しては消化器内科で内視鏡的粘膜切除(Endoscopic Mucosal Resection)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われています。早期発見ができれば外科手術を行わないで根治させることができる患者さんも増えています。
手術
内視鏡治療が難しい患者さんに対しては、がんを残さないようにするため周りの正常な部分と胃の外側にあるリンパ節を含めて切除する外科手術が標準的な治療を言われています。胃の2/3程度を切除する場合と、全部を切除する場合の2種類が主に行われています。それ以外に早期癌で部分的な切除を行う場合もありますが少数です。腹腔鏡を用いた手術が広まってきていますが、これは腹腔鏡というお腹に差し込むカメラと鉗子というマジックハンドの様な器具を用いて行う方法です。お腹の中で行うことは開腹手術を同じです。
抗がん剤治療(化学療法)
主に手術と組み合わせて再発や転移が起こる可能性を低くするために期間限定で行う方法と手術では根治することができない進行したがんに対して寿命を伸ばすことを目的として行う方法があります。