
胃がん 消化器外科
特色・方針
胃がんの概要ご説明した通り,胃がんはさまざまな進行段階で発見されます。発見されたさまざまな進行度や患者さんお健康状態で治療方法が異なります。早期の段階で診断されれば内視鏡的な治療が適応になり,進行した段階で診断された場合は手術治療の適応となります。またさまざまな転移があったり,健康状態がすぐれない患者さんには抗がん剤治療が適応になる場合があります。
当院には胃がん治療の専門医が多数在籍しております。消化器内科などの診療科と強く,協力して,総合的な治療を行っています。消化器外科では手術適応となる進行した患者さんや,抗がん剤治療が適応の患者さんの治療を消化器外科が主に行っています。
治療法
当診療科の胃がん手術の特徴は,この3点です。
1. 手術合併症のない安全な手術

これまで胃がんの手術治療はできる限り大きな範囲を切り取って,胃がんを完全に治す確率を高めようとする手術が求められてきましたが,様々な臨床研究で拡大手術の有効性が得られないことがわかってきました。むしろ手術で大事なのは,拡大手術をおこなうより手術に伴う合併症で胃がん以外の治療が必要になることや,合併症が原因で,手術で命を落とすことを無くすことです。当科では過去10年間で610例の手術を行いましたが,手術死亡は1例もいません。
このように安全な手術を行うには患者さん個々の厳密な治療適応の検討が必要です。週2回の症例検討カンファレンスにて厳しいチェックのうえで治療方針が決定されています。

2. 抗癌剤を組み合わせたより根治性の高い手術

拡大手術のような手術方法の改良により治療効果の改善が得られないことがわかってきた現在,注目されている治療が抗がん剤と手術を組み合わせた治療法です。進行した胃がんは手術ですべてのがんを切り取っても,手術後ある程度の割合で再発が起こってきます。手術の改良で再発率の改善ができなかった部分を手術後の抗がん剤治療を追加することで再発率を下げる治療法が開発されました。
すでにその有効性は臨床研究で証明されていますが,当科では手術後の補助的抗がん剤治療の研究で主導的な役割を行い,胃がん治療ガイドラインに載った臨床研究を発表しています。当科では胃がん手術のみならず,抗がん剤治療を積極的に行うことで胃がん治療の予後改善に寄与しています。
3. 初診後,短い待機時間での手術が可能で,精神的にも負担が少ない
当診療科に紹介いただいてから,手術の必要な患者さんには手術前検査終了後原則2週間以内に手術加療を行うことが可能な体制をとっています。このため,手術を待機している間の精神的ストレスも少なくなるよう心がけています。 患者・ご家族様にも,ご紹介いただきました先生方にもご安心いただけると考えています。
対応可能なスタッフ
吉田 直

役職
臨床准教授
資格認定
- 日本外科学会専門医・指導医
- 日本消化器外科学会専門医・指導医
- 日本肝胆膵外科学会 評議員・高度技能専門医
- 日本がん治療認定医機構癌治療認定医
- 日本内視鏡外科学会 技術認定医(胆道)
五十嵐 雅仁

役職
病院准教授
資格認定
- 日本外科学会専門医
- 日本消化器外科学会専門医・指導医
- 日本がん治療認定医機構癌治療認定医
- 日本内視鏡外科学会 技術認定医(大腸)
渡部 愛

役職
助手
資格認定
- 日本外科学会専門医
- 日本消化器外科学会専門医
須田 寛士

役職
助手
資格認定
- 日本外科学会専門医
島本 直明

役職
助手
資格認定
- 日本外科学会専門医
診療実績

2019年,当科で行われた全手術症例は671例で,胃癌手術は41件でした。質の高い手術技術を提供することはもちろんのこと,合併症のない安全な治療をモットーに日夜鍛錬を続けております。
受診方法
急を要する状況の患者さんへも速やかに対応させていただきますので,ご遠慮なくご連絡ください(TEL:03-3972-8111 消化器外科外来へご連絡ください。)
問い合わせ先
〒173-8610
東京都板橋区大谷口上町 30-1
日本大学医学部付属板橋病院,消化器外科外来
TEL:03-3972-8111, FAX:03-3957-8299
ホームページ:https://www.itabashi.med.nihon-u.ac.jp/division/digestive_surgery