子宮体がんについて
概要
子宮は妊娠時に胎児を育てる体部と,腟から病原体が侵入するのを防ぐ頸部に分かれています。子宮がんには子宮体部内膜に発生する子宮体がんと子宮頸部粘膜に発生する子宮頸がんがあり,二つは異なる疾患です。
子宮体がんには50歳前後に発症することが多いI型体がんと高齢者に発症することが多いII型体がんがあります。I型体がんは肥満や糖尿病などの生活習慣病や長期の月経不順が発症のリスクになると言われており,近年発症数が増加しています。がん年齢の前から月経不順をケアし健康な生活習慣を実践することが子宮体がんの予防につながります。子宮頸がんと異なり,発症早期に不正性器出血を起こすことが特徴です。月経以外の出血や閉経後の出血があった場合には産婦人科を受診し適切な検査を受けることが重要です。
治療法
治療の基本は手術で,子宮と両側付属器(卵巣と卵管)摘出に腹腔内のリンパ節摘出(リンパ節郭清)を行います。早期(進行期IA期)のI型子宮体がんであればリンパ節郭清を省略することが許容されます。当科ではこのような患者さんに対してはロボット支援下手術を実施しています。ロボット支援下手術の概要については教室ホームページをご参照ください。
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治療前の検査で必要と判断された患者さんに対しては腹腔内(骨盤・傍大動脈)リンパ節郭清を行います。その上で,やはり子宮体がん治療ガイドラインに則って再発のリスクが高いと判断された方,手術で病変が完全摘出できなかった方には術後に抗がん剤や放射線治療を追加します。また当院ではリンパ浮腫保険診療医とリンパ浮腫認定看護師によるリンパ浮腫外来を開設しています。当院の患者さんで生活に困るような高度のリンパ浮腫を経験する方は少ないですが,希望がある患者さんに対しケアを行っており,また他院で発症した術後リンパ浮腫の患者さんも診察しています。
将来の妊娠を希望する早期(進行期IA期)で高分化型類内膜癌の患者さんの場合,ホルモン治療(高用量黄体ホルモン療法)を検討します。高用量黄体ホルモン療法では子宮摘出を回避することができますが,子宮摘出より治癒率が低く(約70%),再発率は30~50%と高いことが報告されています。治療を選択する際には患者さんと医療者がメリットとデメリットについて十分に話し合うことが重要です。またホルモン治療終了後には,計画的な妊娠あるいは再発防止のための月経調整が必要となります。長期にわたるフォローが必要です。
教室スタッフ紹介リンク
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