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脳腫瘍脳腫瘍

脳腫瘍について

概要

脳腫瘍は発症率が10万人に数人という,誰もがかかる病気ではありません。腫瘍のある場所や種類によって病名があり,非常に多くの種類が存在し,発生部位も様々なため適切な手術法や治療法も個人によってそれぞれ異なります。また,脳腫瘍の手術は他の臓器の「がん」手術のように,病変のある周辺部位を大きく区域で切除するような手術ができません。脳を区域で切除してしまった場合,脳には複雑な神経の伝達機能があるため,その部位がつかさどる体の機能を損傷してしまうからです。脳腫瘍の外科手術の場合,脳の機能を温存したり改善したりすることが重要で,腫瘍病変だけをできるだけ多く安全に摘出することを目指すのが脳腫瘍の治療になります。脳腫瘍の治療法と予後は,腫瘍のタイプ(種類・浸潤性の有無・大きさ・部位)や治療に対する反応によって異なりますが,診断に必要な画像技術や手術手技の向上により,予後は以前と比べ良好になりつつあります。このページを訪問くださった方の中には「脳腫瘍」と診断を受けたことで精神的につらい時期のご本人さまやご家族もいらっしゃるかもしれませんが,ご自身の治療を任せられる病院は必ず見つかります。日本大学脳神経外科でも,患者さまにご満足頂ける治療を提供し,医療安全と治療成績を重視し,専門医による脳外科チームで対応しています。患者さまが納得して治療が受けられるように,日々脳外科医療に真摯に取り組み,来院をお待ちしておりますので,疾患に関連したことは安心して何でもご相談ください。
日大脳神経外科講座ホームページ別ウィンドウでは詳しい疾患についての情報を掲載しています。

治療の選択

外科的治療(開頭または経鼻内視鏡手術)あるいは定位放射線治療(ガンマナイフ)の局所治療によって長期生存や寛解が得られる腫瘍と,外科的治療に加えて放射線療法,化学療法(抗がん剤)などの補助療法を必要とする腫瘍があります。どのような治療の選択肢があるのか,どの治療が患者さまにとって最善であるかは,熟練した専門医師を交えた医療チームで,非常に正確に腫瘍を診断する必要があります。当院での外科手術においては,悪性脳腫瘍を含む全ての脳腫瘍に対し,脳機能マッピング/モニタリング,5-アミノレブリン酸術前投与,ニューロナビゲーションシステムなどの最先端技術の治療を提供しています。覚醒下手術(意識があるまま行う手術)を含む脳機能マッピング/モニタリングに関しては本邦において最も古い歴史を有し,脳神経の機能を最大限に保護することに取り組んでいます。術後の化学療法が必要な場合は,標準的な化学療法に加え,分子標的薬や,詳細な病理診断や遺伝子解析に基づくオーダーメイド治療を実施しています。

脳腫瘍の種類

脳腫瘍の種類(タイプ)は,CT,MRI,脳血管造影,各医学検査など精密検査によって詳細な情報を得ることができます。詳細なデータから,脳腫瘍に対する診断を行い,あらゆる戦略を考え,患者さんに最適な治療を行うことになります。下記は一般的に「脳腫瘍」と言われる主な疾患です。それぞれの疾患を詳しい説明は 日大脳外科講座サイト別ウィンドウで見ることができます。

悪性腫瘍 神経膠腫(グリオーマ) (星細胞腫,退形成性神経膠腫,神経膠芽腫,乏突起神経膠腫 など) 悪性リンパ腫 転移性脳腫瘍
頭蓋底腫瘍 髄膜腫 神経鞘腫(聴神経腫瘍,三叉神経鞘腫など) 嗅神経芽細胞腫 胚細胞性腫瘍 脊索腫 中枢神経系腫瘍 眼窩内腫瘍
間脳下垂体腫瘍 下垂体腺腫 ラトケ嚢胞 頭蓋咽頭腫
小児脳腫瘍 髄芽腫 上衣腫 胚細胞腫瘍 毛様細胞性星細胞腫 神経芽腫 PNET 膠芽腫 AT/RT 横紋筋肉腫 など

画像から見る脳腫瘍外科治療

脳神経外科疾患の診断においては,適切で精密な画像診断は治療戦略を導き出す上で欠かすことはできません。

神経膠腫

手術前に5-アミノレブリン酸を内服することで,腫瘍が染色され,手術中の摘出範囲がわかります。

5-アミノレブリン酸術前投与後の手術中画像
5-アミノレブリン酸術前投与後の手術中画像

下垂体腺腫

全ての下垂体腫瘍および一部の頭蓋底腫瘍に対し神経内視鏡を用いた経鼻的手術を第一選択として手術加療を行っています。神経内視鏡を使用した経鼻的なアプローチにより,開頭することなく鼻腔内から摘出することが可能です。

神経内視鏡を用いた経鼻的手術を第一選択として手術加療を行っています

鞍結節部髄膜腫

手術前と後のMRIの画像です。腫瘍が視神経(目の神経)を圧迫したため,視力や視野(見え方)に障害が出ていました。腫瘍が全て摘出できたので,視力の障害はなくなり,社会生活に復帰しました。

手術前と後のMRIの画像

後頭円蓋部髄膜腫

進行する中心暗点(視野の中心部が見えにくくなる)と頭痛があり,頭部MRIで後頭円蓋部に脳実質外から発生するような腫瘍性病変を認めたため,開頭腫瘍摘出術をしました。

後頭円蓋部髄膜腫

蝶形骨縁髄膜腫

進行する認知症と頭痛があり,頭部MRIで右側蝶形骨縁に脳実質外から発生する腫瘍性病変を認めたため,開頭腫瘍摘出術をしました。

蝶形骨縁髄膜腫

脳腫瘍<悪性リンパ腫>

解剖学的位置を同定することで,合併症を軽減しつつ,病変へのアプローチを容易にします。病理診断が確定後は,早期に化学療法および放射線治療を行います。化学療法後に腫瘍は消失いたしました。

脳腫瘍<悪性リンパ腫>

小児脳腫瘍(髄芽腫)

小児脳腫瘍に対しては,安全かつ最大限の腫瘍摘出を目標とした手術を行っています。脳神経外科, 小児科(血液腫瘍科),放射線治療科を中心に小児脳腫瘍多職種診療チーム医療で最善の化学療法・放射線治療を組み合わせたオーダーメイド治療を行います。妊孕性を含む長期フォローアップを行っています。
小脳の髄芽腫に対して全摘出を行った後,補助療法として化学療法,放射線治療を行いました。再発なく経過しています。

小児脳腫瘍(髄芽腫)

私たちにご相談ください

私たちが脳腫瘍治療を担当させていただきます

吉野 篤緒

吉野 篤緒 写真

役職

主任教授・診察部長

資格認定

  • 日本脳神経外科学会 指導医・専門医
  • 日本脳卒中学会 代議員・専門医
  • 日本間脳下垂体腫瘍学会 学術評議員
  • 日本内分泌学会 専門医
  • 日本癌治療学会 代議員
  • 日本脳腫瘍の外科学会 評議員
  • 日本頭蓋底外科学会 評議員
  • 日本小児神経外科学会 認定医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

大谷 直樹

大谷 直樹 写真

役職

准教授・(日本大学病院)病院教授

資格認定

  • 日本脳神経外科学会 代議員・専門医・指導医
  • 日本脳卒中学会 専門医・指導医
  • 日本脳卒中の外科学会 代議員・技術指導医
  • 日本頭蓋底学会 評議員
  • 日本神経内視鏡学会 技術認定医
  • 日本脳神経外科救急学会 学術評議員

四條 克倫

四條 克倫 写真

役職

准教授 頭蓋底腫瘍を担当します

資格認定

  • 日本脳神経外科学会 指導医・専門医
  • 日本脳卒中学会 専門医

角 光一郎

角 光一郎 写真

役職

准教授 脳腫瘍(グリオーマ)・小児脳腫瘍を担当します

資格認定

  • 日本脳神経外科学会 指導医・専門医
  • 日本脳卒中学会 指導医・専門医
  • 日本神経内視鏡学会 技術認定医
  • 日本小児神経外科学会 認定医(学術研究委員)

山室 俊

山室 俊 写真

役職

助教 間脳・下垂体腫瘍を担当します

資格認定

  • 日本脳神経外科学会 指導医・専門医
  • 日本神経内視鏡学会 技術認定医
  • 日本間脳下垂体腫瘍学会 学術評議員
  • 日本内分泌学会 専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

脳腫瘍と判断された方へ

日本大学脳神経外科学講座は,脳腫瘍治療に全力で取り組んでいます。私どもにご相談ください。

神経モニタリング専門医を有しています

日大脳外科講座では,機能脳外科分野における世界的な先駆的施設としての地位を確立してきた伝統があり,精度の高い脳機能マッピング/モニタリングが可能な神経モニタリング専門医を有しています。特に,脳の深いところにある腫瘍などは,術中モニタリングを監視しながらの手術が非常に重要になります。脳の機能を保護し,温存することが重要になる脳腫瘍の外科治療は,技術が熟練した医師だけで手術をするのではなく,専門チームとしての専門分野を駆使し患者さまの治療にあたります。手術中は,神経モニタリング専門医によって,脳機能が障害されていないかを監視(モニタリング)し,言語野や運動野といった脳の重要な機能の部位を確認(マッピング)します。体の様々な機能に指令を出す役割をしている脳を,できる限り損傷されないよう回避する役割を担います。

表 小細胞がん

大島 秀規

大島 秀規 写真

役職

准教授 日本大学板橋病院脳神経外科 科長

資格認定

  • 日本脳神経外科学会 指導医・専門医
  • 日本脳卒中学会 指導医・専門医
  • 日本定位・機能神経外科学会 機能的定位脳手術技術認定医
  • 日本臨床神経生理学会 術中脳脊髄モニタリング認定医

森 史

森 史 写真

役職

助手 術中脳脊髄モニタリングを担当します

資格認定

  • 日本脳神経外科学会 専門医
  • 日本臨床神経生理学会 術中脳脊髄モニタリング認定医

脳神経外科スタッフ別ウィンドウ

診療実績

2020年度の手術実績別ウィンドウ

脳腫瘍に関連した研究業績

日本大学医学部付属板橋病院は,JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ:Japan Clinical Oncology Group)参加施設です。

JCOGは,がんに対する有効性の高い新たな標準治療を確立して,その研究成果を国内外に発信し, がん患者さんの診療の質と治療成績の向上を図ることを目的にしたグループです。
板橋病院は「脳腫瘍グループ」として,JCOG研究への参加が承認された41施設(2021.10現在) に選ばれています。

JCCG(日本小児がん研究グループ: Japan Children’s Cancer Group)参加施設です。

JCCGは,小児がんに対する最先端で最良の治療法を確立し,最善の治療体制を構築することを目的とした小児がんの臨床研究グループです。
小児脳腫瘍(上衣腫,髄芽腫,AT/RTなど)の治療に関する臨床研究に参加しています。

過去5年(2015年から2020年)の脳腫瘍に関連した研究業績別ウィンドウ

脳神経外科技術関連した教育実績

日本大学医学部機能形態学系生体構造医学分野講座と合同でカダバートレーニングを行っています。
脳の深い所(頭蓋底)の解剖の理解を深める手術手技トレーニング教育を若手のうちから行っています。

受診を希望される患者さまへ

日本大学医学部付属板橋病院別ウィンドウの外来受診案内

関連サイト

日本大学医学部 脳神経外科学系神経外科学分野別ウィンドウ

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